体調不良で病院に行く時と同じ感覚で弁護士を活用してほしい〜軽症の段階で手当てをし、早期に解決
弁護士の少ない地域には困っている人がいる
ーー弁護士を目指したきっかけを教えてください。
私が高校生の頃、出身地である佐世保市は弁護士の数が10人ほどで、人口規模を考えるとかなり数が少ない地域でした。
あるとき、親が仕事で理不尽な目に遭ったのですが、相談できる弁護士は周りにおらず、私にできることも何もありませんでした。途方に暮れる親の姿を目の当たりにして、「こうやって理不尽な思いをしている人は沢山いるのではないか」「自分が弁護士になって、弁護士が少ない地域の人のために活動したい」と考えて、それ以来、弁護士を目指すようになりました。
大学は法学部に進学し、卒業後は大学院の法学研究科に進学しました。 大学院に入った当初は、研究よりも司法試験の勉強にウェイトを置こうと考えていたのですが、いざ研究を始めると夢中になりました。客観的視点で法律の理屈を論じていくことが、とてもおもしろかったんです。
研究者になる道も考えたのですが、「弁護士になって、目の前の困っている人を助けたい」という思いも強くあり、やはり司法試験にトライしようと決意して本格的に勉強を始めました。
合格するまでには時間がかかり、一時は断念して司法書士事務所で事務員として働いていた時期もあります。ただ、諦めきれずに再び勉強を始め、30代後半にようやく試験に合格し、弁護士になることができました。
高校生の時に抱いた、「弁護士がいないところには困っている人がいる」という思いはずっと持ち続けていて、弁護士が少ない地域で活動したいと考えていました。
まずは経験を積むために福岡県にある公設事務所(編注:弁護士会が設置した事務所)に入所し、2年ほど勤務した後、故郷の長崎に戻って「飛鸞ひまわり基金法律事務所」を開設しました。事務所がある平戸市周辺の県北地域は弁護士が少ないため、1人でも多くの方のトラブル解決に貢献できるよう、日々の業務に取り組んでいます。
離婚事件に注力 当事者の権利を守る
ーー今はどのような案件を手がけていますか。
離婚や債務整理、相続、交通事故など、幅広い分野の案件を手がけています。その中でも、特に離婚分野に力を入れています。
私自身、両親が離婚していて、子どもながらに親の離婚の大変さや辛さを感じた経験があるため、同じように苦労をしている方の力になりたいと思っていることが理由の1つです。もう1つの理由は、離婚の際、弁護士が入ることの必要性を強く感じているからです。
ひとくくりにはできませんが、今でも、男性優位の考え方が残っている地域はあります。たとえば、夫婦が離婚を決めた時、夫側の両親に妻が言いくるめられて、本来受け取れるお金や権利を得られずに離婚するようなケースもあります。財産分与を受けられなかったり、養育費の取り決めをしないまま離婚して経済的に困窮したりするケースも散見されます。
法律上認められている権利をきちんと享受できるようにするために、弁護士が介入することが必要な分野だと思い、力を入れています。
ーー弁護士をされている中で、一番印象的だったエピソードを教えてください。
弁護士になって間もない、福岡で勤務していた頃に担当した刑事事件です。被告人は当時、暴力団構成員で、2件の事件で起訴され、1件は認めていましたが、もう1件には関わっていないと主張していました。一方、共犯者は被告人と一緒に事件を起こしたと主張している状況でした。
接見で被告人の話を聞いたり、共犯者2人に尋問をしたりする中で、被告人がその事件に関わっていないことを証明する客観証拠や電話記録を掴むことができました。そして最終的に、無罪判決を獲得できました。
この事件は、無罪になったこと以上に、被告人との交流が心に残っています。接見で「暴力団を抜けたい」という話を聞いたり、私から、暴力団をやめた人がうどん屋を開業する本を差し入れたりしたこともありました。コミュニケーションを重ねる中で、徐々に素の姿を見せてくれるようになり、嬉しかったですね。
彼は、関与を認めていたもう1件の事件について有罪になったため、実刑を受けて服役しましたが、刑務所を出た後に連絡をくれました。現在は、警察の協力もあり暴力団組織を抜けられたそうです。今も時々連絡をくれて、交流もあります。
トラブルは軽症の段階で手当てをすることが重要
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方にメッセージをお願いします。
法律トラブルは病気と一緒で、早いうちに弁護士に相談すれば軽症の段階で手当てができますし、複数の選択肢の中から自分にとって一番いい解決方法を選べます。しかし、手当てが遅れてトラブルがこじれてしまうと、打つ手がどんどん限られていきます。
できれば、揉めそうになる前、困る前に弁護士を活用していただきたいです。そうすれば、トラブル発生を防ぐためのアドバイスができます。
トラブルが表面化する前に弁護士に相談する気持ちにはなれないかもしれません。でも、「何となく心配だな」「何か対処した方がいいのかな」と少しでも不安を感じたら、一度相談に来てみてください。早い段階で来ていただくことで、スムーズに解決できる可能性が高まり、依頼者の負担も減ると思います。
私自身、依頼者に「弁護士は怖くない」と感じてもらえるように接することを心がけています。気軽に相談にお越しください。