湯山 薫 弁護士 インタビュー
弁護士を目指した理由
大学は法学部だったのですが、当初から弁護士という将来像を描いていたわけではなく、就職活動を経て、卒業後は長く民間の会社に勤めていました。その中で労働者、特に女性の労働者の権利がまったく守られていないことに、強く憤りを覚えていました。給与格差は当然ありましたし、今の時代ではすぐに問題になるような酷いセクハラもありました。
就職後、すぐに男女雇用機会均等法が施行され、総合職になりましたが、総合職に就いている女性の先輩社員もいないという環境の中で、どんな解決策があるのか、誰に相談したらよいのか、何もわかりませんでした。
実体験として、セクハラを訴えても、上司に「その程度はセクハラに入らない」などと言われたこともあり、そういう場合には黙って従うほかない、というのが実際でした。15年ほど会社勤めを続けましたが、退職してから一念発起して司法試験の勉強を始め、今現在はこうして弁護士として働いています。
社会人として直に女性の労働問題に触れた私が弁護士になれば、相談者の方の気持ちもわかりますし、かつての私のような人が、気軽に相談できるのではないかと思ったのです。
学生時代の思い出
刑事政策の研究会に所属し、代表を務めていました。弁護士という職に就くことは学生時代は考えていませんでしたが、法学部で勉強をしていましたし、法律そのものに対する関心は当時から強く持っていました。検察官に憧れた時期もありました。
また学外でバンド活動をおこなったりと、勉強面でもその他の面でも、大学生活をしっかり謳歌していた、と言えると思います。
手がけた事例
弁護士になってすぐに、薬害肝炎弁護団神奈川支部の事務局長になりました。他にも建設アスベスト弁護団と、光ファイバー詐欺被害弁護団(マンションオーナーの方々が法外な値段でルーターを売り付けられた事件において、その仲介を行ったリース会社の監督義務を問うものです)にも所属しています。
女性問題にずっと取り組んでいるからでしょうか、個人的には、離婚事件や労働事件などの女性依頼者がとても多いです。
印象に残っている事例
やはり女性問題で、特にDV事件です。私のところには、かなり深刻なDVで悩んでいる方々が相談にいらっしゃいます。その中には、何か所も骨折してしまっていたり、うつ病になってしまっていたりする例も沢山あります。
離婚は家庭問題解決の手段の一つではありますが、常にそれが最善の選択とは限らず、円満にやり直せるのならそれに越したことはありません。しかし、そういった酷い状況にある方々にとっては、まず身の安全を確保することが最優先ですし、早急に離婚するべきだと思われる事案も多くあるのです。
最近ようやく「DV」という言葉が一般に浸透して、被害者の方々も声を上げやすくなってきているのか、相談は多く寄せられますし、今後も強く関わっていく問題であると思います。
弁護士としての信条・ポリシー
依頼者の気持ちに寄り添うことです。自分を「先生」だと思ってはいけないと考えています。言葉にすると簡単ですが、人それぞれ状況は違いますし感じ方も違います。よく話を聞いてあげることから始めています。
特殊な職業ではありますが、接する相手がお客様であることに変わりはなく、上から目線で仕事をしているようでは、依頼者の方も不安を覚えると思いますから。そういった意味で、自分自身が長く会社勤めをしていたという経験は、今に生かされているなあと日々感じています。
関心のある分野
前述しましたが、女性の権利問題です。昨今女性差別は減っているようにも思われますが、社会における隠ぺいが巧妙になってきているのも事実です。例えば、総合職と一般職の2つに職種を分けることで、給与格差が「性差別ではなく職種の区別」といった風にすり替えられることもあります。このようにして残っている女性差別を無くしたい、と強く思っています。
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(差別撤廃条約)に沿った民法改正が行われることを目指して活動をしています。ただ、「女性だから」と声を上げるのではなく、あくまでごく自然に、社会において男女も何もない、という認識が一般的な世の中になればいいなと考えています。
ページを見ている方へのメッセージ
弁護士はもっと気軽に相談できる存在であるべきだと思っています。とにかく敷居を高く考えず、必要であれば気軽に法律相談会などに行き、弁護士という存在を身近に感じていただきたいと思っています。