小林 俊介 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私が大学生だった90年代後半は就職状況が厳しかったので、自分の将来を考えたときに、資格を取って、その資格を活かした専門性のある仕事がしたいと思い、司法試験を目指すことにしました。
その後、親族がトラブルに遭ったのですが、その時、法学部で法律を学んでいるにもかかわらず、何の力にもなれなかったことに非常に無力感を感じました。身近な人がトラブルに遭った時には、きちんと問題解決の手助けができる存在になりたいと考え、より弁護士という職業を意識して、司法試験を目指すようになりました。
弁護士になって大変だと感じること
依頼者に対して説明を徹底することです。
例えば、初めてご相談を受ける場合であれば、法律関係の整理、考えられる解決方法、その問題点や見通し、必要となる費用等、依頼者に説明すべき事柄は多岐にわたります。しかも、弁護士同士であれば普通に通じる言葉を、依頼者が理解できるような平易な言葉にすべて置き換えて説明する必要がありますので、時間も相当に掛かります。
依頼者の中には、これまでにご自身が抱えてきたストレスの大きさから、「弁護士さんにすべて任せます。好きなようにやってください」という方もいますが、弁護士はあくまで依頼者をサポートする代理人であって、当事者ではありません。どのような案件であっても、最終的には、依頼者が自分の頭で考えて決断しなければ、決して良い解決とはいえません。
そのために、弁護士は、解決に至るまで、依頼者への説明を欠かさず(説明の労を惜しまず)、最後は依頼者がしっかり決断できる環境を作り出すことが大切だと考えています。
関心のある分野
取り扱ったことのない分野はまだまだありますので、挑戦したことのない事件に取り組み、自分の業務の幅を広げたいです。また、私は横浜弁護士会の弁護士業務改革委員会に所属しているのですが、その委員会活動の中で、地方公共団体の仕事のお手伝いをしています。具体的には、地方公共団体が抱える法律問題についてメール相談を行ったり、債権回収のお手伝いをしています。
法曹人口問題が取り沙汰されている今だからこそ、弁護士としてもっとできることはないのか、しっかり考えていきたいです。
印象に残っている案件
弁護士が携わる案件にはどれ一つとして同じものはありませんので、どの案件にも思い入れがありますが、その中でも恐らく一生忘れることはないと思うのが、初めて担当した裁判員裁判の案件です。
マスコミでも報道された重大事件で、被告人が全面否認していたこともあり、裁判員裁判の前の準備手続(公判前整理手続)や捜査段階も含めると、受任期間は約1年3か月に及びました。裁判関係の資料は膨大なものでしたし、私が主任弁護人を担当していたことから、強いプレッシャーも感じていました。裁判員裁判は、基本的に連日開廷ですので、法廷が終わっても打合せや準備に追われ、他の業務は一切できませんでした。
結果として、無罪判決を獲得することはできませんでしたが、協力してくださった2人の先生方のお陰で、裁判官と裁判員には被告人の主張をしっかり伝えることができたと思っています。無罪判決を獲得できなかったにもかかわらず、最後の面会で、被告人から「先生方にはよくしてもらって感謝しています」と言ってもらえたことがとても印象に残っています。
修習中の思い出
私が実務修習(弁護修習)を受けていた当時、ある先生から「この業界では決して孤立してはいけない」というアドバイスを頂いたのがとても印象に残っていて、今でも、私の弁護士としての座右の銘となっています。
弁護士に限ったことではありませんが、1人では何もできません。特に、弁護士は、検察官や裁判官と違い、依頼者あっての仕事です。弁護士同士のつながりは勿論ですが、他の士業の方とのお付き合いも非常に大事です。独立をしてから、弁護士の仕事は、色々なつながりやお付き合いの中から生まれるものだと強く実感しています。
なお、今の事務所は、司法書士である大学時代のゼミの友人と一緒に開きました。弁護士と司法書士という異なる職業の人間が同じ事務所で仕事をする中で、お互いの存在がお互いの仕事に付加価値をもたらすことができればと考えています。
司法試験勉強のコツ
私は旧司法試験に合格したのですが、今でも司法試験は「相対試験」で、「当たり前のことができない人を落とす試験」であるということを強く意識して、普段の勉強に取り組んでください。
不合格の原因は、短答式試験であれば、受験生の多くが正解している問題を間違えたり、論文式試験であれば、受験生の多くが書いている項目や論点を書き落とすということに集約されます。そのため、すべての試験科目において、枝葉に囚われず、受験生が押さえるべき基本事項を見極めて、その完全な習得に集中することが大切です。
私が苦手にしていた論文式試験に合格する上で、とても役立ったのが、友人たちとの答案検討会です。自分が採点される側だけでなく、採点する側の立場になることで、より自分自身を客観視することができるようになります。
一緒に勉強している友人たちが、自分と同じ問題文に接して、どのようなことをどのように書いているのかを目の当たりにすることで、自分の中に根付いていない基本事項を確認するとともに、その原因を徹底的に考えるようにしていました。
また、論文式試験の答案は、いかに自分が良いと思って書いたものであっても、採点者に伝わらなくては全く意味がありません(弁護士が裁判所に提出する書面も同じです)。友人たちと忌憚のない意見を交わす中で、自分の文章の悪い癖を発見し、どうすれば一読了解の分かりやすい文章になるのか、絶えず考えていました。