証券会社勤務で培った経済知識や海外とのネットワークを駆使し、国際相続に注力
医者か弁護士か 幼少期から夢をあたためて
ーー弁護士を目指した経緯を教えてください。
子どもの頃から、医者か弁護士になる将来を思い描いてきました。資格を得て働く専門職に就き、身につけた技術や知識で人を助ける仕事がしたかったのです。
高校生になり、大学受験や進路について本格的に考えはじめてからは、医者よりも弁護士への関心が強くなりました。そんな折、幸運にも、現役の弁護士と話す機会に恵まれました。友人の親戚で、国際的な案件を多く手がけている方でした。頻繁に海外出張をしていて、いかにも現代的なビジネスパーソンという佇まいがとても格好よかったですね。
この方から、弁護士の仕事内容ややりがいについて教えてもらったことで、職業としての弁護士を具体的にイメージできるようになり、自分も同じ道を目指そうと決めました。
ーー司法試験合格後、大手法律事務所に勤めたのちに、外資系証券会社へ転職されていますね。
はい。もともと法律事務所の経営に興味があったのですが、規模の大きな法律事務所にいる若手弁護士には経営や営業に携わるチャンスはまず巡ってきません。悩んだ末に思いきって転職し、外資系証券会社の営業部や法務部で経験を積みました。
しかし、会社が経営破綻してしまい、キャリア形成を見直さざるを得なくなりました。自分がまだやったことがないものは何か、挑戦できそうなものは何か…と考えた末に、法律事務所の開業に思い至ったのです。
企業で営業に携わった経験は、開業に際して非常に役立ちました。経営やスタッフのマネジメント、営業活動、プロジェクトリーダーといった複数の役割を丸ごと担って日々奮闘し、事務所を軌道に乗せました。
ーー現在もっとも注力している分野を教えてください。
国際相続です。親族が海外に住んでいる方や海外に資産を持っている方などから依頼を受け、現地の弁護士や関係各所とやりとりをして相続の手続きを進めています。
証券会社時代に培った経済知識を活かせるので、得意分野だと自負しています。海外の金融事情についてはよく理解していますし、株、投資信託、保険手続きの勘どころも押さえています。近年のグローバル化に伴い、国際相続を扱う法律事務所のニーズは今後ますます増えると思うので、よりよいサービスを提供できるよう研鑽を積んでいきたいですね。
ーー仕事をする上で心掛けていることはありますか。
事件解決に要するおおよその時間の見込みを、受任前に依頼者に伝えることです。特に相続は、金融機関、不動産会社、保険会社といったさまざまなところと連携して進めるため、どうしても長丁場になりがちです。
実務に携わる弁護士にはかかって当然の日数でも、依頼者にとってはそうではありません。「時間がかかりすぎではないか」「自分の案件は今どうなっているのだろう」と不安にさせないよう、事前の説明を丁寧におこない、受任後はこまめに進捗状況を報告しています。依頼者との信頼関係を築くために気をつけているポイントです。
法律のプロとしての視点から事案を見つめて、最善の結果へ導く
ーー弁護士として活動してきたなかで、特に印象的だったエピソードを教えてください。
事務所を開業してまだ日が浅い頃、ある債務整理案件を受任しました。依頼者は経済的に大変困窮していて、知人から借りたお金を返せず、たびたび返済を催促されて対応に苦慮している状況でした。
依頼者の力になれたら、と思って受任し、事件そのものは無事に解決しました。しかし、事件終了時、依頼者から「先生にお願いがあります。お金を貸してください」と頼まれてしまったのです。
当然ですが、弁護士が依頼者に貸し付けをすることはできません。すぐ断りましたし、トラブルになったわけでもないのですが、依頼者との適切な距離感について考えさせられた一件でした。
ーーお金の貸し借りという完全な業務範囲外の問題はもちろん、場合によっては、依頼者が希望することに応じられない場合もあるかと思います。
そのとおりです。依頼者にとって耳の痛いアドバイスをすることもありますし、依頼者が希望する内容が法的に実現できない場合や、その方のメリットにならないような場合は、別の解決策を提案することもあります。
「事件を受任する」ことは、「いつでも必ず依頼者の意見を支持する」こととイコールではありません。依頼者との健全な関係性を大切にしつつ、常に客観的な目で事案を見つめ、最善の結果を出すためのリーガルサービスを提供したいと考えています。そのバランスを探る日々です。
ーー仕事のやりがいはなんですか。
多くの弁護士が同じように感じていると思いますが、やはり、依頼者から感謝の言葉をもらえることですね。報酬にふさわしい仕事ができたときは、心の底から誇らしさを感じます。
信頼できる弁護士との出会いがきっとあるはず
ーープライベートについても伺います。休日はどんなことをして過ごしていますか。
友人たちと釣りをしたり、ヨットに乗ったりしています。どちらかと言うとアウトドア派ですが、静かに絵画鑑賞をする時間も好きです。
ーー今後の展望を教えてください。
事務所経営者としても、ひとりの弁護士としても、課題は尽きません。経営者としては、所属弁護士や事務スタッフがより働きやすい環境を整備していきたいです。弁護士としては、今後も研鑽を積み、自身の知識・技術の向上に務め、依頼者の問題解決のために尽くす存在でありたいと考えています。
ーー現在法律トラブルを抱えて悩んでいる方や、弁護士を探している方に向けてメッセージをお願いします。
どの弁護士に依頼するかを決める際、重視するポイントは人によって様々でしょう。弁護士の経歴や事務所へのアクセスのしやすさなども1つの要素ですが、相性のよさも重要です。
今はインターネットで手軽に弁護士を探せる時代ですが、相性の良し悪しは実際に会ってみないとわかりません。信頼できそうだと感じるか、安心して悩みを打ち明けられるか…ぜひ、直接弁護士と話し、ご自身の目や耳でしっかり確かめてください。
「この人になら事件を任せても大丈夫だ」と思える弁護士との出会いがきっとあるはずです。一歩踏み出して、法律事務所のドアをノックしていただければと思います。