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2019年01月17日 15時11分

同性カップルが婚姻届「当事者が声を上げないと国は動かない」、不平等訴え提訴へ

同性カップルが婚姻届「当事者が声を上げないと国は動かない」、不平等訴え提訴へ
東京都中野区の区役所に「婚姻届」を提出した同性カップルの大江千束さんと小川葉子さん(右から)

同性のカップルが法律婚できないのは憲法が定める法の下の平等に反し、婚姻の自由を侵害していることなどを訴える訴訟が2月、東京および札幌、名古屋、大阪の4つの地方裁判所でそれぞれ提訴される。原告は10組の同性カップルだ。

東京都中野区在住でこの訴訟の原告となる予定の女性カップルが1月17日、中野区役所に婚姻届を提出した。窓口では「女性同士の婚姻届は不受理になる」という説明を受け、今後正式に不受理が通知される見通しだ。

婚姻届を提出したのは、25年にわたりパートナーとして共に暮らしている大江千束さん(58)と小川葉子さん(55)。ともに団体職員で、プライベートでは性的マイノリティのためのコミュニティスペース「LOUD」の代表と副代表をそれぞれ務めている。

中野区では同性カップルの関係を公的に承認する「同性パートナーシップ宣誓」の制度を昨年8月から実施、2人はその第一号でもある。なぜ、2人は同性婚を求める訴訟に踏み切るのだろうか。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)

●「女性同士なんで受理できません」

よく晴れた早朝。大江さんと小川さんは、中野区役所に姿を現した。2人の手には、婚姻届。お互いをパートナーとして生活し始めてから25年。「よもや書くと思わなかった」という。

異性カップルを想定している婚姻届の書式は、「夫」と「妻」という欄がある。夫の欄に名前を書いたという大江さんは「どちらでもよかったのですが、私の方が年上なので夫の欄に書きました。でも、こういう住み分けはいらないと思います」と話す。

小川さんも「同性愛の人たちにとっては、結婚するか、結婚しないか、という選択肢すらありません。スタート地点にも立てないことに不満を感じていましたし、ずっとおかしいと思っていました。ただ、ずっと縁がないと思っていた婚姻届を出すことでひとつのきっかけにしたいです」と語った。

2人は婚姻届を提出しに区役所の窓口に向かった。その数十分後、区役所から出てきた2人。結果は予想通り「不受理」だった。

「係の人は丁寧に応対してくれました。お二人は戸籍上、女性同士なので、受理はできませんと説明を受けました」と大江さん。「私たちの横では、男女のカップルが嬉しそうに婚姻届を出されていました。当たり前ですが受理されて、家族として新しい戸籍ができるわけです。そこに平等はないんだなと、わかっていながらも、現場で突きつけられた感じはありました」

今後、中野区は受理できない理由を通知、不受理証明書を発行するという。今後、2人はあらためて、同性カップルが結婚できないのは「婚姻の自由」の侵害にあたるなどと訴える訴訟の原告となる。

●「自治体レベルのパートナーシップには法的効力がない」

なぜ、2人は今回の同性婚訴訟に加わろうと思ったのだろうか。大江さんはこう説明する。

「幸い、首都圏を中心に自治体レベルの同性パートナーシップ認定制度は進みつつあります。それは、地域の当事者が声を上げているからです。それによって、自治体も動かざるを得ないという流れになっています。

ただし、自治体レベルのパートナーシップには法的効力がなく、どういうことで実効性がたもたれるのか、未知ですし、(実効性があったとしても)限定的だと思います。地域に住んでいる当事者が自治体を動かしたのと同じように、国に対しても声を上げていかないと、そうそう動かないと実感しています。

同性婚は、同性愛者にとって人権獲得運動の一つの着地点と考えています。同性パートナーシップ認定制度は中野区など、実施している自治体に住んでいなければできませんが、日本のどこにいても等しく権利が与えられるのが同性婚です。大きなスタートになると期待しています」

今回の訴訟の弁護団のメンバーで、性的マイノリティの支援活動を行なっている永野靖弁護士もこの日の2人を見守った。

永野弁護士は「大江さんと小川さんは中野区で長年、地道にLGBTの活動に取り組んでこられ、生活感あふれるお二人。このお二人が婚姻制度を使えないのはおかしいと思います。私も弁護団の一員として、誰もが自分の望む相手に同性だろうと異性だろうと結婚できる社会の実現に努力したいです」と語った。

(弁護士ドットコムニュース)

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