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国会議員が政策を考える際の情報源は・・・ AI×ビッグデータ分析で課題認識度を浮き彫りに
国会議事堂(まちゃー / PIXTA)、AI(mounel / PIXTA)

国会議員が政策を考える際の情報源は・・・ AI×ビッグデータ分析で課題認識度を浮き彫りに

国会議員は政策を考える際に、どのような情報源を利用しているのか。東京大学大学院 工学研究科 技術経営戦略学専攻 坂田・森研究室と電通パブリックリレーションズ、ホットリンクの3者による調査で、様々な傾向が見えてきた。最近は、SNSやブログで情報発信している国会議員も目立ってきているが、情報源や信頼性の観点からは、他の手段に比べて、相対的に低い位置にあった。

調査は2017年12月9日から今年4月8日にかけて実施。64人の国会議員(衆議院43人、参議院21人)から回答を得た。今回の調査では、「解決することで、社会・経済・生活が大きく変化し、より良くなる課題」を「社会イノベーション課題」と定義して、AI・ビッグデータ分析と絡めて分析した。

●情報源として利用される「報道」、信頼度はいまひとつ

国会議員の回答をもとに、「社会イノベーション課題」を考える際に利用している情報源と信頼度を分析したところ、情報源としては、「新聞・テレビ・ラジオ・雑誌等の報道」が82.8%で最も高く、「関係省庁」(81.3%)、「勉強会・研究会」(76.6%)と続いた。信頼度としては、「国会図書館」が85.7%で最も高く、「勉強会・研究会」(77.6%)、「関係省庁」(69.2%)と続いた。

「新聞・テレビ・ラジオ・雑誌等の報道」は情報源としてはトップだったが、信頼度では47.2%にとどまった。インターネット関連では、「ネットニュース」が情報源64.1%、信頼度14.8%で、「SNS・ブログ・動画共有サイト等」は情報源42.2%、信頼度14.8%とさらに低かった。

また、必要な情報の種類と充足度についても分析しており、「基礎情報・データ・統計」は最も必要度が高い(84.4%)にも関わらず、充足度は低かった(18.5%)。

政策を立てるための情報が不足していると回答した国会議員が62.5%にのぼり、調査結果では、「政策立案に必要な情報をエビデンスに基づき国会議員に届けることが必要」、「信頼性の高い多様なルートを通じた情報提供が求められている」としている。

●AIで課題を分類、国会議員の認識度を分析

今回、SNSやブログなどの利用度や信頼度は低かったが、「保育園落ちた日本死ね」のブログのように、政治の場でも、ネット上の情報が話題になる場面も出てきている。

今回の調査では、政府の「未来投資戦略2017」とツイッターのデータをもとにした「社会イノベーション課題推定AI」と、ソーシャルメディア上のコミュ二ティを推定する「コミュニティ推定AI」を開発して、社会イノベーション課題を分類するとともに、その課題について、国会議員の認識度を明らかにした。

分析の結果、18課題について、「特定のコミュニティが話題にしている課題」(つぶやき数が多く、つぶやきが特定のコミュニティに集中)、「全体に広く分布している課題」(つぶやき数が多く、つぶやきが全体に広く分布)、「特定のコミュ二ティにとっての潜在的な課題」(つぶやき数が少なく、つぶやきが特定のコミュニティに集中)、「全体に広く分布している潜在的な課題」(つぶやき数が少なく、つぶやきが全体に広く分布)の4つに分類した。

これらの課題について、国会議員の認識度をスコア化したところ、「特定のコミュ二ティが話題にしている課題」(平均87.8点)、「特定のコミュニティにとっての潜在的な課題」(平均86.3点)が、全体平均の82.8点を上回り、「全体に広く分布している潜在的な課題」(平均75.1点)が全体平均を下回った。

特定の層で話題になっている課題や潜在的な課題については、国会議員による認識度も高いことになるが、つぶやき数が少なく、全体に分布している潜在的な課題(例えば、外国人観光客の促進、自由貿易協定の締結など)については、認識度が低い。

調査結果では、「つぶやき数が少なく、全体に広く分布している課題については、潜在的な段階のデータから早期発見し、国会議員に届ける仕組みづくりが必要」としている。

(弁護士ドットコムニュース)

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