弁護士ドットコム - 無料法律相談や弁護士、法律事務所の検索

2018年08月08日 10時06分

「日本が前進していることの表れ」杉田議員「LGBT生産性がない」炎上について考察

「日本が前進していることの表れ」杉田議員「LGBT生産性がない」炎上について考察
「新潮45」8月号

自民党の杉田水脈衆院議員が、月刊誌『新潮45』への寄稿文で、セクシャル・マイノリティの人たちについて「生産性がない」などという考えを示したことが批判をあつめている。自民党は8月1日、公式サイト上で「個人的な意見とはいえ、問題への理解不足と関係者への配慮を書いた表現があることも事実である」として、杉田議員本人に対して、十分に注意するよう指導したと発表した。

●杉田議員「LGBTのカップルは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」

問題になった寄稿文をふりかえる。杉田議員は、月刊誌『新潮45』(8月号)で次のようにつづった。

「LGBTだからといって、実際そんなに差別されているものでしょうか」

「例えば、子育て支援や子供ができないカップルへの不妊治療に税金を使うというのであれば、少子化対策のためにお金を使うという大義名分があります。しかし、LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」

「なぜ男と女、二つの性だけではいけないのでしょう」

このような内容を受けて、インターネット上では、「セクシャル・マイノリティ(LGBTなど)に対する差別だ」といった批判の声があがった。東京・永田町の自民党本部前では、杉田議員の辞職をもとめる抗議行動が起きた。障害者や難病患者の支援団体も組織を立ち上げて、抗議の意思を示していくとしている。

あらためて、「LGBTは生産性がない」という言葉をどう考えるべきなのか。セクシュアル・マイノリティの問題にくわしい原島有史弁護士に聞いた。

●「党執行部の認識があらためて問われることになる」

「杉田議員が『新潮45』(8月号)に寄稿して以降、これまでに多くの識者や団体、メディアなどが批判のコメントを発表しています。このような中、自民党は8月1日、公式ホームページにおいて、『個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある』とのコメントを発表しました。

しかし、杉田議員本人からは謝罪や撤回などの真摯な対応は見られず、ネット上では今も杉田議員だけでなく、自民党の姿勢についても疑問視する意見が相次いでいます。

実際、寄稿文が批判された当初(7月22日)、杉田議員はツイッターで<『間違ったこと言ってないんだから、胸張っていればいいよ』とか『杉田さんはそのままでいいからね』とか、大臣クラスの方を始め、先輩方が声をかけてくださる><自民党の懐の深さを感じます>と投稿していました。

さらに、自民党の二階俊博幹事長は7月24日、『人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある』と述べ、問題視しない考えを示していました。

このような流れに対し、自民党の石破茂元幹事長は7月28日、兵庫県で開いた講演会で、杉田議員の寄稿を批判するコメントを出しました。また、8月3日には、野田聖子総務相が寄稿文を批判したうえで、LGBT対策が自民党総裁選のテーマの1つになるとの考えを示しました。

今回の騒動は、すでに杉田議員一個人の問題から、自民党という政権与党の政治姿勢そのものにまで波及するトピックとなっています。

自民党は2016年5月24日付で『性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方』を公表していますが、その理念が本当に党内で共有されているのか、特に『大臣クラス』をはじめとした党執行部の認識があらためて問われることになると思います」

●「杉田議員の発言は明確に誤りである」

「先ほどの二階幹事長の発言にもありましたが、個人の政治的立場や人生観というのは、さまざまな意見がありますので、『これが正解』という唯一の答えがあるわけではありません。ただ、たとえ『正しい答え』がないような議論であったとしても、その主張が『誤り』であるかどうかを判断する足掛かりはあります。

つまり、ある主張について、それがまったく事実の基礎を欠くか、または社会観念上著しく妥当性を欠くようなときは、その主張が『明確な間違いである』と判断することは可能です(高専学校校長の裁量権の範囲について判示した最高裁判決平成8年3月8日/民集50巻3号469頁参照)。

杉田議員の寄稿文を見ると、初っ端から『LGBTだからといって、実際そんなに差別されているものでしょうか』という感想からはじまっていますが、我が国におけるLGBT当事者への差別や偏見は、これまでにも多くの研究・調査で明らかにされています。

また、自民党が公表している『性的指向・性同一性(性自認)の多様性って?自民党の考え方』というパンフレットでは、LGBTは『本人の意思や趣味・嗜好の問題との誤解が広まっている』と問題提起されています。それにもかかわらず、杉田議員の寄稿文では『LGBは、性的嗜好の話です』と断言しています。

指摘しはじめるとキリがないのですが、このように杉田議員の寄稿文は全体にわたって、事実の基礎を欠いており、この時点で論証としては明確に誤りだと判断することができます」

●「国民を家畜のように取り扱う発言だ」

「このように、誤りだらけの寄稿文ですが、その中でもとりわけ強烈だったのが、LGBT当事者を指して、『彼ら彼女らは子供を作らない、つまり生産性がないのです』と言い放った部分でしょう。

まるで畜産業のように、政治を捉えているのでしょうか。『国民はつがいになって繁殖してこそ価値がある、そうでない国民は生産性がない生き物だ』というのですから、国政をあずかる政治家が言っていい内容ではありません。

杉田議員のこの主張には、LGBT当事者だけでなく、障がい者や難病患者の支援団体を含め、大勢の国民からも怒りの声が上がっています。当然でしょう。国民を家畜のように取り扱うこの発言が、社会観念上著しく妥当性を欠くことは明らかです」

●「他者の気持ちを想像できるマインドを大切にしていく」

「今回、杉田議員の発言に対して、多くの国民が実際に声を上げました。これは、多様性を尊重する社会に向けて、日本が前進していることの表れといえるかもしれません。

ただし、LGBT問題に対する施策が前進しているかというと、かならずしも楽観視できる状況下にはありません。マイノリティ当事者が、今なお差別や偏見にさらされている現状が、研究や調査によって明らかにされているにもかかわらず、国レベルでの法制度はいまだ何もありません。

多様性を尊重する社会の実現は、マイノリティ当事者だけでなく、すべての市民にとって大切な課題です。より良い社会を実現するために、私たち一人一人が、日ごろから他者の気持ちを想像できるマインドを大切にしていく必要があるのではないでしょうか」

(弁護士ドットコムニュース)

原島 有史弁護士
青山学院大学大学院法務研究科助教。LGBT支援法律家ネットワークメンバー。特定非営利活動法人EMA日本理事。過労死問題や解雇などの労働事件、離婚・相続などの家事事件などに関わる傍ら、LGBT支援の分野でも積極的に活動している。

この記事へのコメント

孫六 60代以上 男性

大筋としては良いのだが、LGBTであることを売り物、お笑いにして食い扶持とすることはいかがなものだろうか。その方が本物であれ演技であれども扱うメディアはそれで良いのか。
またLGBTを性的嗜好ではないとしても、この範疇以外の性的嗜好はどうするものか。
そして障がい者、難病患者なら医療や社会的セイフティネットで保護されてステッカーやワッペンで補助介助を求めるものであるが、LGBTを差別偏見せず現状問題視することへの施策とは教育段階から男女の恋愛婚姻以外の範疇があることの認識を持たせ、法制度とは主として民法上の検討から解決の道筋をつけようとするものなのか。
多様性の尊重、他者の気持ちを想像するマインドを持つためにはその存在を正しく明確に公に認知しなくてはならないし、それがないがために現状の偏見が生じているのだろう。

匿名ユーザー 女性 20代

ハイハイ

コメント内容を確認する
コメントの送信に失敗しました。

コメントの送信時にエラーが発生しました。
もう一度コメントを入力してください。

再読み込みする
こって牛 60代以上

LGBT 個人の権利は守る必要はある。さて将来、日本国民にプラスに成るだろうか?国民がいるのに国民を支える国民がいない事は誰がどう考えてもなりたたない。誰が日本国民を支えるの?中国、米国、韓国。誰かの下で、のほほんと暮らせるとでも?

匿名ユーザー 女性 20代

えー、なんで中国や韓国の話になるの? ビックリしたぁ。

いまむら秀樹 男性 40代

>えー、なんで中国や韓国の話になるの? ビックリしたぁ。

中国•韓国が日本を狙っているからだよ。
そんな事すら知らないの?
世間知らずのお嬢さん??

匿名ユーザー

100年もすれば国籍の概念自体無くなるように思います。
今世界の潮流がそういう方向に動いています。
かくいう私もたくさんの種類の血が流れており、たくさんのアイデンティティを持っています。

コメント内容を確認する
コメントの送信に失敗しました。

コメントの送信時にエラーが発生しました。
もう一度コメントを入力してください。

再読み込みする
匿名ユーザー 40代 男性

それをいうなら本来の責務をほっぽり出して国会議員なんて仕事にうつつを抜かしてる女性議員なんて生産性ゼロじゃないのですか?
自分は男女均等に守られてるくせにそういう事言う?
自分が突如障害を持って「生産性を失う」事を考える想像力もない?
無計画に子ども産みまくって周囲に迷惑かける親は「生産性に溢れてる」のでしょうか?
(まだ不十分でしょうが)女性差別が減って、やっとLGBTに光が当たるようになったんです。
自分らの差別を忘れて他を差別する。まるでイスラエルのようです。
杉田議員に言わせれば「女性は子供を産む機械」なのでしょうから、とっとと議員なんて辞めて、更なる子作りに専念されては?

匿名ユーザー 男性 30代

杉田議員は「女性は子供を産む機械」とは発言していないのに、違う人の発言と勝手に関連付けるのはいちゃもんの一種に落ちています。そう発言した論拠もないのでしょう?

コメント内容を確認する
コメントの送信に失敗しました。

コメントの送信時にエラーが発生しました。
もう一度コメントを入力してください。

再読み込みする
静御前 30代 女性

日本の歴史をきちんと調べれば、答えは簡単です。
稚児、若衆、猿楽者、男装の遊女歌舞伎に女装野郎歌舞伎、陰間茶屋。大奥では女性同士のラブレターも取り交わされています。そもそも、能楽や白拍子も、女装や男装。院政期には、時の権力者達は、男同士で愛を交わし、それが平治の乱、源平合戦の原因の一つにもなり、武家を台頭させるきっかけにもなっているのです。当然、公の場に同性の愛人同行なんて、普通です。

何が言いたいかともうしますと、LGBTは、昔から存在していて、我が国の政治や文化にもしっかり影響を与えてきました。今日のように、奇異な事とみられるようになったのは、たかだか明治以降。キリスト教を奉じる欧米諸国の影響です。日本人は、キリスト教徒ではありません。本来の、性におおらかな、日本人としての原点に立ち返ればいいと思います。私たちのご先祖は、LGBTの方たちと、今の私たちよりはずっと上手く共生していたと思います。もっと、勉強してください。

我が国では、LGBTは、マイノリティではなかったのですから。

コメント内容を確認する
コメントの送信に失敗しました。

コメントの送信時にエラーが発生しました。
もう一度コメントを入力してください。

再読み込みする
コメント内容を確認する
コメントの送信に失敗しました。

コメントの送信時にエラーが発生しました。
もう一度コメントを入力してください。

再読み込みする
バナーの画像、書かれている内容は「あなたの体験を記事にしませんか?体験談募集」