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妻からの「離婚したい」、理由は「5年前の浮気」と「セックスレス」…どうなる慰謝料
写真はイメージです(node / PIXTA)

妻からの「離婚したい」、理由は「5年前の浮気」と「セックスレス」…どうなる慰謝料

浮気とセックスレスを理由に、妻から離婚を求められている男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。妻が離婚理由としてあげたのは、次の2つです。

・5年前、夫が複数の女性と浮気した

・夫が拒否したため、セックスレスとなった

浮気は5年前に発覚しており、未就学児の子どもが2人います。セックスレスになった理由は「浮気がきっかけで私自身がセックスレスに陥って」しまったから。相談者は「慰謝料はどのくらい請求されるでしょうか」と質問しました。

今回の場合、不貞とセックスレス、それぞれの慰謝料が請求されてしまうのでしょうか。小澤和彦弁護士に聞きました。

●「5年前の浮気は現時点での離婚理由にはならない」

「5年前の浮気については、一旦は、妻も許してくれて、その後、2人目の子どもも授かっているということです。それが現時点での離婚理由になるとは考えられません。したがって、不貞行為を理由とした離婚に伴う慰謝料請求は認められないことになります」

なお、法的には慰謝料請求の時効は損害(今回のケースでは浮気)を知った日から「3年」となります(民法724条)。では、セックスレスはどうでしょうか。

「回答する前に、相談者におたずねしたいことがあります。私には、浮気がきっかけで相談者自身がセックスレスに陥ってしまったというお話がよく分かりません。理由をもう少し、自分自身で掘り下げて検討してみてはいかがですか。

本当は、浮気がきっかけで妻との性交渉ができなくなったわけではないですよね。逆に、まず、妻と性交渉をする気がなくなり、それが浮気という形で現れたということではありませんか。結婚当時と比べて妻の容姿が変わったとか、妻の態度が変わったとか、なんらかの理由で相談者は妻と性交渉をする気を失ってしまったのです。

また、性交渉することだけが夫婦の本質ではないでしょうから、相談者に愛情が感じられないという妻の訴える離婚理由ももう少し掘り下げて説明してもらう必要があるでしょう。妻が離婚を望んだ背景には、性交渉以外の生活面とか相談者の態度とか、他の部分にも、何か妻を冷めさせる部分があるはずです」

●離婚理由にはなるが・・・

つまり、妻からの慰謝料請求は想定しなくても良いということでしょうか。

「結論から言うと、そうですね。性交渉を持たない以外の理由、つまり家に帰ってもゲームやテレビをずっと見ていたり、妻が相談を持ちかけても協力的でなかったりしたなど、夫婦関係への不満があったのではないでしょうか。そうした不満については、慰謝料の請求はできません。

加えて言えば、妻を冷めさせた相談者の態度は離婚理由としては問題になるかもしれません(民法770条1項5号)。ただ、それが慰謝料を生じさせるほどのものかと言えば、お話を読む限りでは、その可能性は低いと言えます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

小澤 和彦
小澤 和彦(おざわ かずひこ)弁護士 弁護士法人東京多摩法律事務所
第二東京弁護士会多摩支部 両性の平等委員会委員、東京都西東京市男女平等参画推進委員会副委員長。

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