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2017年05月31日 10時03分

所持するだけで「設置」扱い? ワンセグ受信料、裁判所の判断が割れた理由を検証

所持するだけで「設置」扱い? ワンセグ受信料、裁判所の判断が割れた理由を検証
NHK

「NHKワンセグ問題」で、裁判所の判断が分かれたーー。水戸地裁は5月25日、テレビを持っていなくても、ワンセグ機能付きの携帯電話を持っていれば、受信料の支払い義務があるとする判決を下した。昨年8月のさいたま地裁判決とは真逆の判断だ。

放送法64条1項は「受信設備を設置した者」に受信料の支払い義務があるとしており、どちらの裁判でも、ワンセグ携帯の所持が「設置」と言えるのかが争点になっていた。

水戸の裁判は、さいたま地裁判決を受けて提訴されたもので、原告側の主張はほぼ一緒。裁判所はそれぞれ、どんな根拠から別々の結論を導き出したのだろうか。判決文を読み比べたところ、さいたま地裁は受信料を税金に類するものとして、厳密に法文を解釈した一方、水戸地裁は税金性には触れず、受信料の歴史や目的を重視した判決だったことがわかった。

●水戸地裁では言及がなかった「受信料の税金性」

さいたま地裁判決の根拠は、「設置」と「携帯」を区別した放送法の条文(2条14項)の存在だ。この条文は廃止されたNOTTVなど、携帯端末向けの放送サービスを定義したもので、2009年の放送法改正で追加された。

さいたま地裁は、NHKの受信料は税金に類するもので、課税要件を明確にする必要があると指摘。法改正で「設置」と「携帯」が区別されている以上、ワンセグ携帯電話を所持することは「携帯」であり、「設置」には当たらないと判断した。

一方、水戸地裁判決は、この条文について、NHKの業務とは関係のない規定だと指摘。さらに「携帯」の文言が出現した後も、NOTTVなど「有料放送」について定めた関連条文(147条1項前段)には「携帯」が追加されず、「設置」のみのままになっているとして、放送法では「設置」と「携帯」は明確に使い分けられていないとした。

その上で、放送法の歴史にも言及。放送法が制定された1950年当時は、携帯ラジオからも受信料を徴収していた(ラジオからの徴収は1968年で終了)ことなどから、「設置」は「携帯」を含む概念だと判断した。なお、判決は受信料の「税金性」については言及しなかった。

「ワンセグ裁判」は現在、最も進んでいるさいたま地裁の事案が、東京高裁で争われている。ただし、判決が出るのは、年内が予定されているNHK受信料についての最高裁判断の後になる見込み。この最高裁判断では、受信料が税金的な性格を持つのかなどについても言及される可能性がある。いずれにしても、ワンセグ問題の決着にはまだまだ時間がかかりそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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