持ち帰り弁当チェーン「ほっともっと」を展開するプレナス(福岡市博多区)が下請業者に支払うべき代金の一部を不当に減額したことが下請法違反に当たるとして、公正取引委員会は3月2日、減額した計約3411万円を業者に返還することなどを勧告した。同社は勧告に従って返還する予定だという。
報道によると、プレナスは弁当の具材となる加工肉や調味用ダレの製造を下請業者6社に委託しており、2014~16年にかけ、値引き商品の広告料や売れ残り商品の返品代などを名目にして、発注時に定めた支払代金から減額したという。また、販売を終了したメニュー用の肉の返品も行なっていたという。
今回問題になった不当減額とは、通常の値引きとどのように異なるのか。不当減額と判断されたポイントについて、佐藤光子弁護士に聞いた。
●「下請事業者の了解を得ていても、発注後の減額は下請法違反」
「下請法の対象となる取引では、親事業者は、発注時に決定した下請代金を『下請事業者の責に帰すべき理由』がないにもかかわらず、発注後に減額してはいけないとされています。たとえ下請事業者の了解を得ていても、親会社に違法性の意識が無くても、発注後に減額した場合は下請法違反となります」
佐藤弁護士はこのように述べる。
「下請事業者は親事業者より立場が弱く、発注後であっても親事業者から減額を要求されると、拒否しにくい場合があります。下請法は、そのような立場に置かれた下請け業者の利益を守るための規定ですので、減額の名目、方法、金額の多少を問わず、発注後、どの時点で減額しても違反となります。
減額の名目は、協賛金、手数料、値引き、管理料など何でもよく、発注時の金額から実質的に減額となっている場合は不当減額となります」
下請事業者から納入された物品を返品することも、下請法違反になる場合があるという。
「明らかに下請事業者に責任がある場合以外は、親事業者が、下請事業者から納入された物品などを受けとった後に返品することも下請法違反となります。
一旦納入した物品を返品されると、下請事業者の利益が害されることになります。受領後速やかに不良品を返品するような場合以外は、店舗における売れ残り、商品入れ替え、客のキャンセル、賞味期限切れなどを理由に返品することはできません。
プレナスは今回、値引き商品の広告料、売れ残り商品の返品代などを理由に実質的に発注時の金額から減額させたり、販売を終了したメニューの食材を返品するなどしていたようです。これらは違法な減額、返品となり下請法違反となります」