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「会社メールアドレス」でデートの約束…どこまで許される? 監視されても仕方ない?
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「会社メールアドレス」でデートの約束…どこまで許される? 監視されても仕方ない?

日ごろの連絡はLINEのようなSNSを使うことが増えていますが、まだまだメールも健在。会社のメールアドレスを使って、恋人や友人と連絡を取り合った経験はないでしょうか。 

「職場では、ブラウザでGmailなど私物のメールを見ることが禁止されています。なので、親しい人やSNSを使わない家族とは、会社のメールアドレスを使ってしまうことも」(30代、女性会社員)という人や、「親しい友人や合コンで知り合った人と名刺交換した後は、自然と会社メールアドレスで連絡をとるように。数は多くないですが、デートや飲み会など私的なことにも使っています」(30代、男性会社員)。

しかし、私的な目的で会社のメールアドレスを使うことに、問題はないのでしょうか。川岸卓哉弁護士に聞きました。

●「私的利用も許される」と判断した裁判例もあるが

「会社は、企業秩序を維持するため、会社のメールアドレスの業務目的外の利用を、就業規則などで禁止することができます。会社が定めている一般的な就業規則では、会社のメールアドレスを私用で使うことを禁止する懲戒規定が定められていることが多いです。

就業規則上には禁止規定がない場合でも、私的利用は、社員の『職務専念義務』に違反し、懲戒の対象となり得ます。もっとも、社員といえども個人として社会生活を送っており、職務遂行上支障にならない限度であれば、私的利用も許されると判断した裁判例があります」

業務時間外であっても、禁止されるのだろうか。

「就業規則で禁止規定がある場合には、業務時間外であっても、懲戒の対象となりえます。就業規則に禁止規定がない場合には、先ほどの裁判例の考えによれば、会社に過度の負担にならない程度の利用は問題はないということになります」

●会社は社員のメールを見てもいい?

弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、「会社が社員のメールを見ることに問題はないのか?」という相談も寄せられていた。

「個人情報保護法では、会社がインターネットの私的利用を調査するため個人情報を取得することについて、制限しており、取得する情報の利用目的を特定し(例えば、営業秘密の漏洩防止、私用メールの濫用防止)、これを公表・通知しなければならないとされています。

また、会社は、本人の同意を得ないで、取得した情報の目的外利用はできません。したがって、会社がこれに反する場合は、社員は、プライバシー侵害にあたると主張し差し止め、損害賠償が可能です」

川岸弁護士は最後に、次のように呼びかけた。

「会社のメールアドレスの私的利用は、控えた方がよいでしょう。もっとも、会社には、解雇など重い懲戒処分が必ずしも許されるわけではありませんし、調査権限にも限界があります。会社の対応が不当だと感じたら、諦めずに一度弁護士に相談することをお勧めします」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

川岸 卓哉
川岸 卓哉(かわぎし たくや)弁護士 川崎合同法律事務所
日本労働弁護団、神奈川過労死被害対策弁護団所属。多くの労働に関する裁判事件を扱うとともに、労働NPOワーカーズネットかわさきを立ち上げ、深夜街頭相談やSNSなどを使い労働問題の掘り起こしにも取り組んでいる。グリーンディスプレイ青年過労事故死事件の解決を通じ、勤務間インターバル規制の早期導入を訴えている。

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