
「転ばぬ先の杖」を理念に〜予防法務を広めてトラブルを未然に防ぎたい
依頼者の幸福は弁護士が決めるものではない
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
弁護士をしている父の勧めで、大学は法学部に進学しました。大学では、法律相談部に所属して一般の方から離婚や相続などの相談を受ける活動をしていました。
学生ながらに自分たちが学んできたことを活かして相談に乗っていたのですが、具体的な解決へ最後までサポートができないことへのはがゆい思いも感じていました。そうした中で、弁護士になればできることも増えて、もっと相談者の役に立てるのではないかと考えるようになり、弁護士を目指すことを決意しました。
本格的に司法試験の勉強に取り組んだのは、ロースクールに入学してからです。
朝6時に起きてロースクールに行き、夜の12時頃まで勉強するという生活を約3年間続けました。勉強は大変でしたが、法律の知識が身についていくことが楽しかったですし、ロースクールのロケーションがとても良くて、近くの山や河原、芝生のある庭などに行って気分転換ができたので、長時間の勉強も苦にならなかったです。
ーー注力している分野を教えてください。
「転ばぬ先の杖」となるべく、予防法務を広めることを事務所の理念として掲げています。その中で、不動産企業を中心とした企業法務、離婚、相続(終活)に注力しています。
企業法務は、紛争を未然に防ぐ予防法務が最も活かされる分野だと思います。最初に顧問に就任をした企業が不動産会社だったこともあり、紹介などを通じて不動産関連企業の仕事が増え、企業の中でも特に不動産関連の企業に力を入れるようになりました。
離婚は、以前勤めていた事務所で多くの案件を経験したことから注力分野にしています。「離婚に至らないための心がけ」という内容のセミナーを開いたり、相談者へ問題を複雑にしないためのアドバイスをするなど、予防という観点からも取り組んでいます。
相続においても予防法務にこだわり、「終活」を広める活動をしています。公民館や高齢者施設等で終活セミナーを開催すると共に、遺産相続で家族が不要な負担を負わなくて済むよう、遺言書や財産目録の作成などの相談活動にも取り組んでいます。 相続や終活は不動産が関係することが多いので、不動産会社の企業法務で得た経験が依頼者の方々の役に立っていると思います。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
事件処理の方針を決めるときは、「依頼者が望んでいることは何か」ということをつきつめて考えて行動するように心がけています。そう考えるようになったのは、上司にかけられた言葉がきっかけです。
弁護士になりたての頃、担当したある事件の方針を上司に報告するときに「依頼者の幸せを考えると、この方法が最適解だと思います」と伝えたところ、上司は言いました。「司法試験に受かると、人の幸せがわかるようになるのか? 私は弁護士を30年以上続けているが、いまだにわからないよ」と。
方針が間違っていたわけではなく、依頼者の幸せを私が決めていることを上司は叱責したのだと思います。私が考えている最良な結果が、依頼者にとって最良とは限りません。わかったつもりになって自分の価値観で判断してはいけないと学びました。
予防法務のスペシャリストに
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
休日は子どもと一緒に過ごしています。料理をするのが得意なので、休日は子どものために手の込んだものを作っています。最近作ったもので評判が良かったのは、豚肉のローストのハニーマスタードソースです。
趣味はワインです。いろいろな種類を試すよりも、気に入っている品種や産地のものを飲むことが多いです。事務所にもセラーがありますので、ワイン好きな相談者が来られたときは、一緒にワインセラーの中のワインを見ながらワイン談義で盛り上がることもあります。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
不動産企業法務は不動産売買に関する仕事が多いのですが、不動産企業は建築業務を行っていることが多いため、建築分野にも一層注力をしていき、不動産関連企業のスペシャリストを目指したいと考えています。
また、不動産関連企業以外の企業で顧問にしてくださるところも増えてきていますので、期待に応えるべく、様々な業種に対応できるよう、今後も研鑽に勤めようと思います。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
悩みを保管していても、良いことはありません。今はインターネットで調べることもできますが、法律の知識がなければ答えにたどりつくまで苦労しますし、苦労して調べた結果が正しいとも限りません。
弁護士であれば短い相談時間であっても的確なアドバイスができると思います。悩みがあるのならば、まずは弁護士に相談してみてください。