最善の解決策を一緒に見つけていきたい〜「弁護士に相談すべきか分からないこと」でもぜひ相談を
予防法務の大切さを実感し、弁護士を目指す
ーー弁護士になるまでの経緯を教えてください。
弁護士になりたいと考えるようになったのは、大学生のときです。当時は法律相談サークルに入っていました。授業で法律を学ぶなかで、社会で法律がどう使われているのか知りたい、と興味を持ったんです。法律相談サークルに入れば、実践的な法律の使い方が分かると思い入部しました。
様々な相談を受ける中で、特に多かったのが「遅くまで働いているのに残業代がもらえない」など、労働に関する相談でした。私たち学生が「あなたは残業代をもらう権利があります」とアドバイスしても、相談者から「でも実際にそこで働いていたら、なかなか請求できないよ」「そんなことを上司に言ったら、気まずくて働き続けられなくなる」と言われることが多くありました。
サークルでの経験を通して、法律で認められた権利が侵害されたとしても、現実的に、声を上げてその権利を主張することが難しい場合があることを知りました。そして同時に、起きてしまったトラブルに対処することと同じくらい、トラブルの発生を防ぐことが重要だと思ったんです。
起きたトラブルの解決とトラブルの予防。弁護士になれば、どちらの活動にも力を注げることに非常に魅力を感じ、それ以来弁護士を志すようになりました。
ーーどのような相談を受けていますか。
案件として多いのは、労働事件や、離婚・男女トラブルなどの家事事件です。
予防法務にも力を入れています。企業のサポートとともに、「NPOのための弁護士ネットワーク」という団体に所属していることから、NPO団体への支援もおこなっています。具体的には、SNSでの発信やイベント開催時の注意点について法的な観点からアドバイスすることなどを通して、メンバーが安心して活動できる環境づくりに携わっています。
依頼者に寄り添いつつ、客観的な視点も忘れない
ーー仕事をするうえで心掛けていることはありますか。
依頼者に寄り添いつつ、客観的な視点から事件を見ることです。
トラブルは、依頼者と相手方の意見が対立したときに起こります。解決のためには、依頼者自身に、「相手にどうしてもらいたいのか」「自分はどうしたいのか」「何を優先したいのか」といったポイントを紐解いてもらうことが重要です。依頼者が考えを整理しやすいよう、俯瞰的な視点から事件を見つめてアドバイスしています。
弁護士から「こうした方がいいですよ」と押し付けるように提案するのではなく、依頼者にとって大事なことが何かを確認しながら、一番いい解決策を一緒に見つけていくことに時間をかけています。
ーー弁護士として活動してきたなかで、印象的だったエピソードを教えてください。
雪に関するトラブルで、依頼者にとって最善の解決方法を見極める大切さを実感した案件があります。
北海道は、雪をめぐる近隣トラブルがよく起こります。「隣の家の雪が自分の敷地内に大量に入ってきて困っている」という相談が特に多いです。
このようなケースでは、必ずしも、裁判で徹底的に争うことが得策とは限りません。むしろ、今後もご近所さんとして暮らしていくわけですから、裁判で激しく責め合って仲違いをしてしまった場合、法的な解決はできても生活に支障が出てしまうかもしれません。
ある方から同様のケースで依頼を受けた際には、話合いを重ねて当事者が納得できる着地点を探し、裁判に至らず解決することができました。しばらく経って、依頼者から「先生、あの時はありがとう。今は相手ともうまくやっているよ」と連絡がきたときは嬉しかったですね。
ーープライベートについてもうかがいます。休日はどのように過ごされていますか。
弁護士会の野球部に所属していて、休みの日は練習に参加しています。今は雪で練習できないのですが、5月頃から再開予定なので、できるだけ身体が鈍らないようにジムでトレーニングしています。野球は中学生までやっていて、弁護士になってから再開しました。
トラブル予防のアドバイスを発信したい
ーー今後の展望について教えてください。
トラブル予防のための情報発信に力を入れたいです。
「トラブルにならないためにはどうしたらいいのか」、「トラブルに発展してしまったとしても、裁判のような大事になる前に解決するにはどうすればいいのか」。これまでの経験で得た知見を活かして、アドバイスを発信していきたいと考えています。
また、札幌のような都市部だけでなく、地方における法律的なサポートにも力を注いでいきたいです。リモートワークのためのツールを活用すれば、どこにいても仕事ができます。札幌だけでの活動にこだわらず、現場に足を運び、困っている方の声を直接聞いてトラブルを解決できる弁護士になりたいですね。
ーートラブルを抱えて悩んでいる方に、先生からメッセージをお願いします。
自分が抱えているトラブルについて、なかなか他人には相談しにくいと思います。でも、人に聞いてもらうことで、自分の考えを整理できたり、トラブルを未然に防げたりすることもあります。その相談相手のひとりに、弁護士を加えてもらえたら嬉しいです。
よく講演会などで皆さんに言うことですが、弁護士に相談したらいいかどうか分からないことでも、ぜひ相談しに来てください。相談するタイミングが早いほど、解決の選択肢も多くなります。今よりも悩みが深くなる前に、事態が深刻化してしまう前に、話を聞かせてもらえればと思います。