
アルバイト経験から労働問題に注力 労使のパワーバランスを是正し社会貢献に努める
学生時代の夢は「社会貢献できる仕事がしたい」
ー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
私は学生の頃から社会貢献できる仕事をしたいと思っていました。その頃はよくニュースを見て、社会の様々な理不尽な部分を目の当たりにしたので、公害などの社会問題に取り組む弁護士になりたいと思ってました。
ー社会貢献に携わるNGOやNPOなどで働く選択肢もある中で、特に弁護士に着目した理由はありますか?
弁護士という国家資格を得られることが大きいと思います。資格があることで、いざとなれば1人でも行動できるので、NPOなどで働くより能力を発揮できるのではないかと思いました。
ーどんな学生でしたか?
大学生の頃はそこまで勉強していなかったです。テニスサークルや、友達のフォークダンスサークルの活動に参加していました。コサックダンスなど様々な民俗舞踊を踊れたのは良い経験でした。
ロースクールも非常に良かったです。授業の後は学校の自習室で夜の11時くらいまで残って勉強し、息抜きにはロースクールの同級生とご飯を食べたり飲みに行ったりしました。司法試験に集中しやすい環境だったので、勉強自体は苦ではなく、楽しく過ごせました。
法律学は数学と同じ パズルのように論理を積み上げる
ー法律を勉強していくことの面白さはどのような点にありますか?
法律学は文系の科目ですが、実際には数学と同じように論理を積み上げていくものです。ある程度基礎やパターンが身につくと、問題に直面しても自分でパズルのように法律の条文や論理を組み立てていくことができるようになります。法律の用語や条文は難解ですが、自分の頭の中で単純化してどんどん組み合わせられるところが面白いと感じます。
ー弁護士になられてからの注力分野をお聞かせください。
今注力している分野は労働関係です。会社側と労働者側を問わず、残業代の未払いに関する事件を一番多く扱ってきました。それ以外には、労働災害やパワハラ訴訟も担当しました。
司法試験受験生の頃にアルバイトをしていましたが、労働者が会社に対して弱い立場に立たされていること実感しました。そのときの理不尽な思いや経験から、労働関係は弁護士が労働者と会社との間に入ってパワーバランスを是正するべき分野であると実感し、特に注力したいと思いました。
ー使用者と労働者の間のパワーバランスはよくお聞きしますが、実際に事件を扱って、労働者側の方が立場が弱いと感じられますか?
そう感じることが多いです。例えば、未だに残業代をきちんと支払っていない会社はそれなりにあると思います。労働者が我慢して声を上げないのをよいことに、労働基準法に違反しているケースがそのまま是認されてしまっているケースが多いように思います。
ーそれはつまり使用者が自らが法律に違反していることを認識しているということですか?
そういうことだと思います。残業代に関して、使用者は基本的なルール自体は理解していますが、「これぐらいは許されるだろう」と考えて、違法な運用をすることが多いようです。
例えば、始業時刻前に業務の準備などをさせていても、それは従業員の自発的な準備に過ぎないから、その分の賃金は払わなくてよいと決めつけている会社が意外と多くあります。このように、労働基準法に当てはめると、賃金を払わなければならないのにもかかわらず、未払いであるという状況がまだまだ見受けられます。
ー依頼者とコミュニケーションをとられる上で気をつけていることはありますか?
まずは本人の話をよく聞くことを心掛けています。その上で、最終的に法律ではどのような結果になるかを伝えるようにしています。場合によっては相談者の希望通りの結果にならないこともありますが、そのことを最初の段階でお伝えできるよう、なるべく時間をかけて話を聞くようにしています。
医療事故事件で実感した病院側の苦悩 全ての依頼者のために最善を尽くす
ー弁護士として活動してきた中で、特に印象的だったエピソードをお聞かせください。
病院側の代理人として医療事故を数件担当しました。どの事件も、かなり長い期間を要しました。仕事をしている中で、お医者さんや看護師さんがいかに苦労しているのかを実感できました。患者さんの命を救おうとして頑張っていたのに救えず、事件となって、場合によっては裁判所に証人として出廷しないといけないという、病院側の苦労を理解できた気がします。この経験をもとに、依頼者である病院のために力になりたいと強く感じるようになりました。
ー病院側の代理人としての難しさはどのようなところにありますか?
カルテに記載されていない事実が争点になるケースがあることです。例えばですが、病院側におけるカルテには、検査技師など技術者が行なったことについて記載していないことが多いです。そのことについても書けばいいのですが、お互い処置で忙しいので書かないのが現状だそうです。
患者側はどうしても情報収集能力に限界があるので、裁判所は、病院側に対して、不明な部分について説明するよう求めます。弁護士にとっては、カルテに書かれてない部分を把握・整理し、患者側と裁判所のどちらにも理解できるように説明するのが難しい面です。
ー休日のお過ごし方を教えてください。
子供が3人いるので、仕事がなければ家族と一緒に過ごします。最近はなかなか遠出ができないので、近所の公園に行ったり、ショッピングセンターに行ったりします。妻も働いているので、休日は私1人で子供3人を連れて出かけることが多いです。
あとは、時間があるときにジョギングをしたりします。以前はよくテニスをしていましたが、最近はできていないので、またいつかやれたらなと思います。
ー先生の今後の展望についてお聞かせください。
今のまま仕事を続けていき、事務所により貢献したいと思います。依頼者の問題を解決するために最善を尽くすことはもちろん、事務所の全員が仕事とプライベートのバランスを取りながら働けるような体制を構築していきたいと思っています。
ー法律トラブルを抱えて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
トラブルに巻き込まれたら、自分で動く前に弁護士に相談していただくと、トラブルが拡大する前に解決できます。我々も無料の法律相談を行っていますので、不安だなと思った段階で、弁護士に気兼ねなく相談していただけたらと思います。