永濱 迅人 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
自分の遠い親戚に弁護士として活躍していた人がいて、小学生高学年のころから漠然としたあこがれがありました。その後、大学を卒業して損害保険会社に就職をしたのですが、法律問題に直面することが多くあり、自分の力のなさと弁護士に対するあこがれが強くなって行きました。そんなときに、母が今でいう振り込め詐欺に遭いそうになり、弁護士の先生に相談したところ、たちどころに解決をしてしまいました。
このときに、「弁護」士という仕事がわかったような気がして、自分もそうした仕事をしたい!!と強く思うようになり、会社を辞めて弁護士になる決意をしました。
会社を辞め、弁護士になるまで5年ほど独学で旧司法試験を受験していました。4回目の受験の時に短答式試験の合格ラインに1点足りず、落ちてしまいました。そのころは平成18年だったのでロースクール制度が始まっていました。旧司法試験に囚われずに新司法試験でも挑戦してみようと思い、ロースクールを考え始め、翌年ロースクールに入学しました。
印象に残っている案件(事件)
弁護士になって最初にやった刑事事件が印象に残っています。万引きの事案で、結果的には起訴猶予という形で10日間の勾留で終わりました。被告人は軽い知的障害のある方で、接見に行ってもなかなか上手く意思の疎通が図れないということがありました。
自分なりに考えて、ご家族とお話をしたり、被害者の方ともお話をしたりして、最終的には起訴猶予という形で終わることができたので印象に残っています。初めての刑事事件であったということもありますし、起訴猶予で終わりご家族の方からも感謝をされたので、弁護士になったかいがあったなと初めて実感した事件です。
仕事の中で嬉しかったこと
やはり、依頼者に感謝されたときです。
事件が解決した時はもちろんですが、法律相談にいらした方が「少し楽になりました」と言ってくれるだけで、自分の存在価値を感じることができて、嬉しく思います。
弁護士になって大変だと感じること
どの事件も1つとして同じものが無く、弁護士として瞬時の判断を求められるということでしょうか。似たような事件はたくさんありますが、事情はいつも異なります。そのときに、法律の専門家として依頼者のために最良の選択をしなければならないというプレッシャーはいつも感じます。
しかも、そうした判断をするためには、常に勉強し、法的知識だけではない幅広い教養を身につけていかなければならず、そうした点でも大変な仕事だと感じます。
仕事をする上で意識していること
「きく」ということです。
依頼者や被疑者・被告人の話を良く「聞いて」、それを自分の中でしっかりと理解することがまずは一番大切だと感じています。
その中で、自分が疑問に思ったことや知らないことは、すぐに「訊く」。依頼者の方の話を聞いていて、専門用語や業界の常識などわからないことは依頼者の方に訊きます。
また、事実の説明を受けていて、相手が当然だと思っていることでも聞いている方からすればわからないこともありますので、こちらで勝手に判断したりせずに相手に必ず確認をするようにしています。ときには、仕事をしていく中で初めて触れる法律の事案もありますので、そういった時には先輩弁護士や同期の弁護士に訊いていきます。
我々弁護士は、「先生」といわれる職業なので、「知らない」「わからない」ということを口にすることに抵抗や恥ずかしさを感じることがあるのですが、知ったかぶりをしてそのままにしておくと後で取り返しのつかないミスにつながる可能性もあります。
ですから、よく「聞き」、素直に「訊く」ということを常に心がけています。
関心のある分野
私の事務所は、いわゆる「マチ弁」です。ですから、今は特に専門分野というのをもたずに何でもやるというスタンスで仕事をしています。
ただ、将来的には、倒産関係や税務分野の知識を身につけていきたいと考えております。こうした専門分野を身につけることが、厳しい競争を勝ち残るために必要不可欠なことだと思っています。
倒産関係については,元々倒産法選択で司法試験を受けていたこともあり関心があります。また、破産管財人代理をやらさせてもらっているので、さらに専門性を高められればいいと思っています。税務分野に関してはまだ手つかずなところが多いのですが、税務分野を得意としている先生は非常に少なく、弁護士として活躍できる場が多いのではないかと感じています。
税理士は、弁護士法で弁護士であれば当然できるとされていて、そういったメリットもあるので、専門的な知識を身につけられれば自分の可能性が広がると思っています。
今後の弁護士業界の動向
難しい質問ですね。ただ、競争が厳しく激しくなるということは間違いないと思います。 こうした中で、我々弁護士も、専門性を高めることはもちろん、様々な業界に進出していくことが必要だと思います。
人数が増えていることで「就職難」や「質の低下」ばかりが目立っていますが、法的な専門知識を欲している業界や分野はまだまだあると思います。企業、官公庁、研究機関などに積極的に働き掛け、弁護士の活躍する場を広げていくことが肝要なのではないでしょうか。
弁護士の就職先というと今は法律事務所が大半を占めていますが、インハウスロイヤーとして銀行や保険会社などの金融機関、メーカーの知的財産部門などには門戸が広がってきています。今後は、その他の色々な業態の一般企業にも弁護士が入っていけるぐらい、弁護士の仕事が近くになれればいいと考えています。
例えば、契約書の整理にしても法律的な知識を持っている弁護士が作るのとそのような知識をもっていない一般の方が作るのとでは、将来の紛争リスクの軽減という予防法務の観点からは結果が変わってくると思いますので、そうした面からも弁護士が進出していく余地はあると思います。
アメリカでは会社に弁護士がいるのは常識です。日本の現状は弁護士が弁護士のムラの中だけにいます。もっと外に進出していくことを弁護士会全体が考えていければ厳しい競争の中でも弁護士という職業自体の可能性が広がっていくと思います。