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飲食店30人分ドタキャン、キャンセル料要求に幹事「何で?」と反発…法的な考え方は
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飲食店30人分ドタキャン、キャンセル料要求に幹事「何で?」と反発…法的な考え方は

30人分の予約を当日にキャンセルされたーー。飲食店関係者がネットの掲示板にそんな体験を投稿し「キャンセル料を払う必要があるのか」という問題をめぐって議論が起きた。

投稿者は、30人で予約した大学生のグループの幹事から、当日にキャンセルの連絡を受けた。「キャンセル料は100%」と伝えたところ、幹事から「なんで?」と理解できないといった反応がかえってきたそうだ。

「キャンセル料なんて払う意味がわからない」といった反応もあったが、「用意した食材が無駄になる」など、キャンセル料を要求することは正当だという意見が多く寄せられた。

飲食店の予約をドタキャンされた場合、法的には、店側はキャンセル料を要求することはできるのか。消費者問題に詳しい福村武雄弁護士に聞いた。

●キャンセル料、法的には「損害賠償額の予定」

「キャンセル料は、法的には、民法に定められた『違約金』にあたると考えられます(420条3項)。

違約金は420条1項で、『損害賠償額の予定』と法的に推定されます。当事者が予定した損害賠償の額は裁判所も変更することはできません(420条1項)。

そのため、予約をキャンセルした客は、店側が定めているキャンセル料を支払うことが原則となります」

今回のケースではキャンセル料の額がいくらだったかは明らかではないが、どんな高額なキャンセル料を請求してもいいのだろうか。

「キャンセル料が法外な金額にならないように、同種の事業者に生じる平均的な損害を超える場合には、超える部分について無効となるルールがあります(消費者契約法9条1号)」

平均的な損害にあたるかはどうかは、どうやって判断するのか。

「たとえば、旅行契約の標準約款では、出発日の前日から1週間以内のキャンセルの場合、旅行代金の30%をキャンセル料の上限としています」

今回のように、飲食店の場合は、どの程度が平均的な損害なのか。

「予約がキャンセルされた時期は明らかではありませんが、たとえば、忘年会シーズンの居酒屋であれば、当日であっても、予約していない飛び込みのお客さんも少なくないはずですから、食材を転用できる可能性があるでしょう。

こうした事情があれば、居酒屋に発生する平均的損害額は旅行契約の標準約款と比較しても、それほど高額とは認められないと思われます。

よって、今回のケースでも、コース料金が定められていたような場合、一定の金額をキャンセル料として請求することはできますが、全額を請求することは難しいのではないかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

福村 武雄
福村 武雄(ふくむら たけお)弁護士 あすか法律事務所
平成13年(2001年)弁護士登録、あすか法律事務所所長 関東弁護士連合会・消費者問題対策委員会元副委員長、埼玉弁護士会消費者問題対策委員会元委員長、安愚楽牧場被害対策埼玉弁護団団長

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