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旧統一教会、献金被害を隠す動きか 一部の元信者に1000万円返金 霊感弁護団が注意呼びかけ 
会見する川井康雄弁護士と山口広弁護士(2022年9月6日、弁護士ドットコムニュース撮影)

旧統一教会、献金被害を隠す動きか 一部の元信者に1000万円返金 霊感弁護団が注意呼びかけ 

安倍元首相の銃撃事件後、旧統一教会が一部の返金に応じるなど被害を小さくしようとする動きを見せているとして、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、連絡会)が9月6日、注意を呼びかける会見を行った。

また、教会関係者が全国の消費生活センターに被害相談があったか探りを入れているという。もし相談者の連絡先が伝わって教会側に接触された場合、また教会側に連れ戻されて被害が増大する危険性があると指摘した。

代表世話人の山口広弁護士は「教会側は火消しに回り始めている。早く安く片付けて、顕在化を避けようとする考えだ」と批判する。法務省の被害相談が始まったタイミングでの動きに、警鐘を鳴らしている。

●事件後、2000万円の返金を請求したら1000万円戻ってきたが・・

7月8日の銃撃事件後、連絡会には9月4日までにメールで131件(元信者32件、2世15件、家族84件)、電話で54件の相談が寄せられている。

このうち「2000万円を献金した」という関西地方の元信者は事件を受けて、直接教会側に返金を要求したところ、合意書をかわしたうえで、現金で1000万円返済されたという。

連絡会の木村壮弁護士は「これまでの訴訟では、返金の際の合意書は、それ以外の請求は放棄するという内容になっている」と説明。教会側の常套手段だといい、阿部克臣弁護士は「署名を覆すのはハードルが高い。安易に応じないでほしい」と呼びかけた。

●全国で一斉に「探り」か 8月末から各地で報告

また、連絡会によると、8月30日ごろから消費生活センターに旧統一教会関係者が来所したり電話したりして「被害相談があったら誠実に対応するので連絡がほしい」と依頼してきているという。

少なくとも関西地方を中心とした7カ所から連絡が寄せられた。関係団体や関連会社からの接触も確認されているといい、連絡会は「教会側の組織的な動き」とみている。

センター側が「返金に応じるということか」と問うと答えないといい、連絡会は「個人情報を把握しようとしている可能性もある。(自分たちで事前に対処して)法務省などへ寄せられる被害を1件でも減らそうとする動きではないか」と分析する。

連絡会は9月1日に、全国を管轄する国民生活センターに要請に応じないよう書面を発出。全国の消費生活センターで情報共有したという。

●関係断絶を明言しない富山知事にも申し入れ

さらに連絡会は、2020年の選挙で教会側から応援を受けていたことを認めたものの、その後の関係を断つと明確に表明していない富山県の新田八朗知事に対して、6日付で申し入れしたことも発表した。

申し入れ書では、以下の3つについて回答を求めている。

・統一教会やその関連団体と接触した経緯、どのような支援を受けたか
・当選後、関連団体の研修や政策協議がいつごろあったか
・教会や関連団体と一切関係を持たないでほしいが、どう考えるか

川井康雄弁護士は「知事は『宗教の圧迫にあたる』と主張しているが、まったく別の話です。宗教だからではなく、違法な行為をしてきた団体だから、関係を断つべきだと言っている」と強調した。

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