2019年05月16日 09時34分

「経済界は解雇規制をなくしたいだけ」 相次ぐ「終身雇用は限界」発言に労働弁護士が批判

「経済界は解雇規制をなくしたいだけ」 相次ぐ「終身雇用は限界」発言に労働弁護士が批判
記者会見に臨む中西宏明・経団連会長(2019年3月5日/弁護士ドットコム撮影/日本外国特派員協会)

経済界トップから「終身雇用は限界だ」という発言が相次いで、大きな波紋を広げている。

日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は5月13日、記者会見で「(終身雇用は)雇用をずっと続けている企業、そして税金をずっと納めている企業に対して、インセンティブはあまりないわけです」「なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたんじゃないのかな」と述べた。

また、経済同友会の桜田謙悟代表幹事は5月14日、「(終身雇用は)昭和の時代は大変よく機能したと思います」「ただ、経済そのものが大きく変革した中で、やはり制度疲労を起している可能性があるので、(終身雇用)もたないと思っています」と語った。

さらに経団連の中西宏明会長も5月7日、「終身雇用を前提とすること自体が限界になる」「もうだめになりそうな事業を雇用を維持するために残すようなことをすると、雇用されている方にとって一番不幸なんです」と話していた。

経済界トップのこうした認識・発言について、インターネット上では賛否があるが、労働弁護士はどのようにとらえたのだろうか。佐々木亮弁護士に聞いた。

●「終身雇用」が別の意味で使われている

そもそも、現在の日本では、パートや派遣などの非正規雇用者の割合が、労働者全体の4割となっています。正社員であっても、決して良好な雇用環境でないことも多く、そもそも「終身雇用」は幻想のようなものにすぎません。

過去を振り返っても「終身雇用」と言われるものは、大企業の男性労働者の一部にはあったといえるものの、労働者みんなが「終身雇用」だった時代など一度もありません。

注意すべきは、それでも経団連会長やトヨタ社長が「終身雇用」と言っていることの意味です。

おそらく、彼らがいう「終身雇用」は、私たちがなんとなく思い浮かべる意味ではなく、現行法制における解雇に対する規制のことを言っているのだろうと思います。つまり、経団連会長も、トヨタ社長も「もっと自由に解雇できる社会がいい」と言っているだけです。

経済界の相次ぐこうした発言は、労働契約法や整理解雇法理で、経営者が労働者を思うように解雇できない法制度を「変えてしまえ」という狼煙(のろし)であり、国民がどんな反応をするのか見てみようという観測気球のようなものと思えます。

現在、厚労省で解雇法制に関する研究会があり、そこで検討がされていますが、その内容は、経済界にとっては不満がある内容だと思われます。彼らはこうした発言を重ねることで、官邸ルートから横槍が入ることを期待しているのではないかと邪推してしまいます。

いずれにしても、現状でも不合理な解雇は多くなされているのですから、これ以上、経営者が自由に解雇ができる社会を作ってしまえば、安定した持続的な社会を作っていくのは難しくなるのではないでしょうか。

(弁護士ドットコムニュース)

取材協力弁護士

佐々木 亮弁護士
東京都立大学法学部法律学科卒。司法修習第56期。2003年弁護士登録。東京弁護士会所属。東京弁護士会労働法制特別委員会に所属するなど、労働問題に強い。
事務所名:旬報法律事務所
事務所URL:http://junpo.org/labor

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この記事へのコメント

呆気 40代 男性

わざわざ記事にするレベルの事じゃないでしょ
そんなの言わずもがなわかること

匿名ユーザー

まあ、誰でも分かることを記事にするのが仕事だから。

おじさん 男性 40代

じゃあ、終身雇用がない国は安定してないということ?

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匿名ユーザー 60代以上 男性

弁護士が反対する意味が分からん。解雇しやすくした方が弁護士儲かるんじゃないの。そりゃ会社は自由に解雇できる方が良いでしょう。労働組合が時代遅れなんだから労働組合の代わりに保険のようなものを作って全労働者を強制加盟させて弁護士が会社と交渉をする制度にすれば良いんでないかい。ついでに労働契約も個別に弁護士が介在して結べば問題無し。金は病院みたいに3割負担とか。

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匿名ユーザー 40代 男性

弁護士先生は経営したことないから「今でも法律上は解雇できる」ということを言いたいらしいけど、全部机上の空論で、実際は解雇できないんだよね
反論してる先生見てると、非現実的な例ばかり話していてどうも実態が見えてないように思える

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匿名ユーザー 40代 男性

何故か経営者目線の底辺労働者、親の商店を継いだだけで、でかい口を叩く(一応、零細の)経営者など、肉屋を支持する豚といいますか、まあはっきり言えば頭が悪い人が増えた現状では、こうした重要な問題をまともに考える人は少ないのであります。

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