日本郵便の新入社員の男性(20代)が上司からパワハラを受けたとして、約550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(深見敏正裁判長)は日本郵便や当時の上司に計132万円の支払いを命じた。判決は2018年12月26日付。
男性の弁護士が1月10日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで会見を開いて明らかにした。
男性は「加害者が最後まで主張したことは、職務の範囲であるということです。人権侵害行為は違法なパワハラであるとすべきことを訴えたい」とコメントを出した。
●「パラサイト」と罵倒
判決によると、男性は大学卒業後の2013年4月、一般職として採用された。八王子西郵便局の「お客さまサービス部」に配属されたが、研修中に渉外営業活動のロールプレイで知識不足などを指摘された。
上司は男性を自主学習に専念させるため、男性の席を他の社員から隔離し、パーテーションで区切った事務所の隅に移動させた。同社は14年3月、「職務に必要な適格性を欠く」などを理由に男性を普通解雇した。
上司らは、男性が離れた席から立ち上がって見回す動作を「ミーアキャット」と呼んで侮辱したり、寄生虫にたとえて「パラサイト」などと罵倒しつづけ退職を選択するよう迫った。
判決はこうした行為を「入社したばかりの新入社員であった男性を、他の社員から切り離して孤立化させ、仕事を与えず教育効果を期待しがたい措置をとった」と認定し、精神的苦痛に対する慰謝料120万円の損害賠償を命じた。
18年6月29日の1審東京地裁判決は、会社のパワハラを認め、約80万円の支払いを命令。男性側はパワハラ行為の認定をめぐり控訴し、会社側と上司個人も附帯控訴していた。
●日本郵便「パワハラ、誠に遺憾」
日本郵便は弁護士ドットコムニュースの取材に以下のようにコメントした。
「判決において、一部ハラスメントがあったとの認定がなされたことは、事実であり、誠に遺憾。弊社では、これまでもハラスメント防止体制整備に取り組んで来たところであるが、引き続きハラスメント防止の徹底に取り組んで参りたい」