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2018年03月18日 10時00分

就活情報サイトではわからない企業の「ブラック」レベル…給与などに落とし穴

就活情報サイトではわからない企業の「ブラック」レベル…給与などに落とし穴
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

就活生は「週休2日制」の5文字を見て何か思う時間があったら「年間休日数」を調べるべきーー。就活生に呼びかけたこんな投稿がツイッターで話題になった。

そのつぶやきでは「休日数110日程度だと週の休みが2日あるが祝日の休みなし。休日数125日程度だと週2日+祝日も休みで、年末年始お盆は普通並み」などと書かれ、5万9000回以上RT(3月14日現在)されている。

●実際に土日祝日を計算してみると…

2018年の場合、土日祝日は計117日ある(土日に重ならない祝日・振替休日は13日)。これに夏季休暇や年末年始休暇などを加えれば、年間休日が120日を超えることになる。

2019年卒向けの新卒採用サイトで企業の採用後の待遇をみてみると、ある小売業は「年間休日117日」、あるマスコミは「月4日以上、年間104日」、ある銀行は「完全週休2日制」と書かれた上に「年間休日120日以上」と明記されていたが、日数で推測するだけでは、実態がどうなのか今ひとつ見えにくい。

●募集要項の的確な表示は「努力義務」

そもそも求人をしようとする企業は、労働者の募集に当たり労働条件を明示しなければいけない(職安法5条の3)。休日数について明示する場合には、企業は求人サイトや求人票などにおいても正確な情報を記載しなければならないが、会社によって「休日休暇」をどう書いているかはバラバラだ。

これについて笠置裕亮弁護士は、「法律上、企業は募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いるなど、その的確な表示に努めなければならないという規定があります(職安法42条)。

ただこれはあくまで努力義務にとどまっているため、誤解を生じさせるような表現の仕方になっていたとしても違法とは言えず、野放しになってしまっているのが実情です」と話す。

●基本給とそれ以外の手当がいくらかを見よう

わかりにくいのは休日の情報だけではない。

採用後の待遇を見る際、多くの就活生は給与も重要視しているだろう。笠置弁護士は「初任給の総額だけを見ていると落とし穴がある」と指摘する。

「給与については、初任給の総額だけではなく、基本給がいくらなのか、それ以外の賃金がいくらなのかを確認する必要があります。給与を構成する要素は、基本給だけではありません。実際には、時間外勤務手当や交通費、社宅や家賃補助などの住宅手当や引っ越し手当などの諸手当が大きく関わってきます。

基本給の金額をきちんと明示している会社であれば安心です。求人票では、基本給部分とそれ以外の手当の部分を分けて書かなければならないようになっていますが、中には高く見せるために残業代込みの金額を初任給として明示している企業もあります。

そのような会社では、かなりの残業をしない限り十分な給与がもらえないということにもなりかねませんので、注意が必要です」

●残業時間、紛争が生じているかどうかもチェック

働き方改革の中、残業がどのくらいあるのかも就活生の企業選びのポイントの一つだ。新入社員だった高橋まつりさんが2016年12月に過労自殺した電通事件に見られるように、長時間残業は、過労死や過労自死の大きな原因となっている。

昨年には、厚生労働省が2020年にも従業員301人以上の会社に従業員の残業時間の公表を義務付けるという日本経済新聞の報道があった。これが実行されれば就活生の企業選びに大いに参考になるが、現在は全ての企業で公表が進んでいるとは言えない。

笠置弁護士は「企業が公表している残業時間と実際の残業時間とが異なるということもありえます。直接尋ねたり『就職四季報』などで調べたりするだけでなく、一般社員の書き込みを見ることのできる就職サイトからも情報を収集してみることも重要でしょう」と話す。

また、労働紛争が生じているかどうかをチェックしてみることも一つの手だという。

「労働紛争が生じているということは、その企業の労働条件や職場環境に不満を持っている従業員がいるということの何よりの証です。主な裁判例は最高裁のウェブサイトから閲覧できますし、大きな労働紛争はメディアが報道するなどしています。インターネットで検索をすれば、かなり正確な情報が得られると思います」

採用サイトだけでは分からないことがたくさんある。出ている情報に惑わされるのではなく、会社が公表していない情報については自分で調べていくことが大事だ。

(弁護士ドットコムニュース)

笠置 裕亮弁護士
開成高校、東京大学法学部、東京大学法科大学院卒。日本労働弁護団本部事務局次長、同常任幹事。民事・刑事・家事事件に加え、働く人の権利を守るための取り組みを行っている。共著に「労働時間規制と過労死」(労働法律旬報1831・32号61頁)、「労働相談実践マニュアルVer.7」「働く人のための労働時間マニュアルVer.2」(日本労働弁護団)。
所在エリア:
  1. 神奈川
  2. 横浜
  3. 中区
事務所名:横浜法律事務所

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