「昼休みをとるくらいなら、その分早く仕事を終えて帰りたいですよ」。あるIT企業の会社員ショウタさんは、会社に宅配される弁当を食べながらぼやく。弁当を食べながらパソコンで仕事の進捗を確認し、食べ終わると再び作業に戻る。
「休むのはいいんですが、給料が減るんですよね」。IT企業で朝から夕方までアルバイトとして働くマサキさんもぼやく。ショウタさんと異なり、アルバイトで時給制のため、昼休みをとると、退社時間を遅らせない限り、その分の給料が減ってしまう。
昼の休憩を取りたいのに取ることができないならともなく、取りたくない人たちもいる。会社は、この人たちにも休憩を取らせなければならないのだろうか。天田圭介弁護士に聞いた。
●取りたくないと言われても休憩を与える義務がある
「法律上、企業は、従業員に対し、原則として、その従業員の1日の労働時間が6時間を超えて8時間以内の場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を、労働時間の途中に、一斉に与える義務を負うとされています。
そして、企業がこの法律上の義務に違反した場合には、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金という刑罰を科せられる可能性もあります」
取りたくない場合でも取らせないといけないのか。
「このような企業の法律上の義務は、たとえ従業員が休憩を取りたくないと言ったとしても免れられるものではありません。
企業としては、従業員に休憩を与えることが法律上の義務であり、従業員の安全の観点からも非常に重要であることを、従業員に説明し理解してもらうことが必要です。
それでも休憩を取らない従業員がいる場合には、企業としては、それを黙認することはできませんので、その従業員に対して休憩を取るよう命令を発するなど、毅然とした対応をとるべきだと思います」