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会社が就業規則「後任者が来るまで退職認めない」盾に拒否…それでも辞めるには?
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会社が就業規則「後任者が来るまで退職認めない」盾に拒否…それでも辞めるには?

「退職したいが認めてもらえない」。そんな書き込みが、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにありました。

相談者は週3~4日の午前に勤務する看護師。突然9月末までの約2か月間に渡って休むように命じられたため、退職を申し出ましたが、「後任者が来るまで退職は認めない」と言う就業規則書に署名していたため、認められないと言われたそうです。

就業規則書にサイン済みの場合、退職は認められないのでしょうか。また会社が取り合ってくれない場合、どうすれば退職できるのでしょうか。竹之内洋人弁護士に聞きました。

●会社に拒否されたら、どうしたらいい?

「法律の規定では、無期限の労働契約の場合、退職を申し出た日から2週間で退職することができるとされています(民法627条1項)。

ただし、この民法の規定の解釈は見解が分かれています。当事者の合意、あるいは就業規則によって、ある程度は変更することはできるとする考え方もあります。たとえば、『退職をする場合は、退職希望日から一ヶ月前に申し出ること』などと定めた場合には、その取り決めは有効とする考え方です。

しかし、どんな取り決めでも有効とはなりません。労働者を過度に拘束するような取り決めは、公序良俗に反する契約として民法90条により無効となります」

今回のような「後任者がくるまで退職は認めません」というケースでは、どうだろうか。

「本件のような『後任者が来るまで退職できない』という就業規則は、後任が来ない限りいつまでも退職できないことになってしまいます。

前述しましたように、民法627条が定めた期間(2週間)は、事情によっては変更することも認められるという考え方もありますが、それにしても『後任者が来るまでは』という規則は、労働者の拘束が厳しすぎるとして、無効となるでしょう。

つまり、相談者の退職日は、民法627条の定めたとおり、退職申し出から2週間で退職できます。会社が退職を認めない場合、内容証明郵便などで明確に退職意思を表明することが重要です。そうすれば、所定期間が経過すれば、会社が同意しなくても退職できます」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

竹之内 洋人
竹之内 洋人(たけのうち ひろと)弁護士 公園通り法律事務所
札幌弁護士会、日本労働弁護団員、元日本弁護士連合会労働法制委員会委員

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