早稲田大学が非常勤講師の就業規則について、契約期間の上限を「5年」に変更したことをめぐり、非常勤講師の労働組合が反対していた問題で、大学側と組合側の和解が成立したことがわかった。首都圏大学非常勤講師組合が11月25日、東京・霞が関の厚生労働省で記者会見を開いて明らかにした。和解は11月18日付。
和解内容は、(1)2014年3月31日以前から勤務している非常勤講師については、契約期間「5年」の上限を撤回し、5年間勤務すれば無期契約の転換を申し込む権利が生じること、(2)2014年4月1日以降から勤務している非常勤講師については、契約年限の上限を「10年」とすること、(3)労働基準法に違反するとして、組合がおこなった刑事告発を取り下げることなど。
首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長は会見で、「早稲田大学の非常勤講師の場合、2014年3月31日以前から勤務している約3000人の雇用が安定し、有期雇用から無期雇用に転換する展望が開けた。5年で無期転換を申し込む権利が生じることが認められたことは大きい」と、今回の和解の意義を述べた。
組合側は今後、2014年4月1日以降に勤め始めた非常勤講師についても「5年」で無期雇用に転換できるようにすることや、非常勤の賃金格差、組合間の差別の解消するなどを求めて、大学側に対して協議を続けていくという。
労働契約法の改正によって、2013年4月から、有期雇用の労働者の契約が5年を超えて更新された場合、無期雇用に転換できる「5年ルール」が始まった。それを受けて、早稲田大学は2013年、非常勤講師の契約期間の上限を「5年」とする就業規則をもうけた。
しかし、組合側は「5年雇い止めになる」として反発。労働基準法違反として大学を刑事告発したり、東京都労働委員会に救済申し立てをしていた。その後、大学側と組合側は20回を超える団体交渉を重ねた結果、今回の和解に至ったという。
早稲田大学は弁護士ドットコムの取材に対して、「なお協議中の案件もあるが、現時点で包括的に合意できた事項について和解した。引き続き真摯に対応していきたい」とコメントした。