職場で「ゴキブリ」大量発生、頭にも降ってきた・・・会社に駆除する義務はあるか?
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職場で「ゴキブリ」大量発生、頭にも降ってきた・・・会社に駆除する義務はあるか?

職場に大量のゴキブリが出て悩んでいる――。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、そんな相談が寄せられた。

投稿者によると、ゴキブリはゴミ箱の周りやトイレ、ロッカーなどに出現し、1日に8匹出たこともあるという。投稿者はゴキブリが大嫌いで、視界に入るだけで悲鳴を上げてしまうレベル。本棚の上段のファイルを取り出したときには、頭に降ってきて大騒ぎしたという。

投稿者は「あちこちにゴキブリのフンがあり、たまに冷蔵庫やレンジの中にまでいて、ゴキブリを意識して仕事する毎日です」と憤る。会社に苦情を申し立てても、「じきに慣れる」「会社で生まれ、会社で死んでいくから、汚くない」などと言われ、相手にしてもらえなそうだ。

この会社では、ゴキブリホイホイを6個置いたり、ゴキジェットを月に2本くらい使って対策をしているようだが、虫が大量発生した場合に駆除する法的義務はないのだろうか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●労働者が安全に労働できるように配慮する義務がある

「会社には『ゴキブリを駆除するように努める義務』があると思います」

尾崎弁護士はこのように述べる。具体的には、どんな義務だろうか。

「およそ使用者は、職場においては、労働者が安全に労働できるように配慮すべき義務を負っています。その一環として、職場の安全と健康を守り、快適な労働環境を形成することを目的とする『労働安全衛生法』があります。

この法律では、事業者に対して事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、『快適な職場環境を形成するため必要な措置』を講ずることで、快適な職場環境を形成するように努めなければならないとされています。厚生労働大臣はそのために必要な指針を公表するとしています。

これに基づき公表された指針によると、『快適な職場環境を形成するため必要な措置』として、主として衛生面に関しては、次のようなことが求められています。

(1)洗面所、更衣室等の労働者の就業に際し必要となる設備を常時清潔で使いやすくしておくこと

(2)食堂等の食事をすることのできるスペースを確保し、これを清潔に管理しておくこと」

●「ゴキブリを駆除する義務」が生じるかは微妙

指針を踏まえると、今回のようなケースはどう考えればいいだろうか。

「今回のケースでは、どこにゴキブリが出没したのか分かりませんが、問題の場所や設備を清潔に管理していたとは考えにくく、指針からすれば好ましい状態にあるとは思えません。

ただ、これらの指針があるからと言って、会社に『ゴキブリを駆除する義務』が直ちに生じるかは微妙だと思われます。

これらの指針は『必要な措置を執るように努力する』際のものであって、措置を義務づけるものではないからです」

あくまで努力義務であって、措置をとらなかったといって、使用者の対応が違法となるわけではないようだ。

「そうですね。ですから、ゴキブリの大量発生にもかかわらず、会社が何もしなかったために精神的苦痛を被ったとして慰謝料請求をすることは、通常は難しいと考えます。

ただし、虫が大量発生するような不潔な環境が原因で病気になった場合には、慰謝料も含めた損害賠償も可能ではないかと考えられます」

尾崎弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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