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先輩の退職や繁忙期で業務増、うつ病で自殺しても「労災認めない」東京地裁の判決に遺族反発
記者会見する(左から)弘中章弁護士、春山然浩弁護士(2月28日、弁護士ドットコムニュース撮影)

先輩の退職や繁忙期で業務増、うつ病で自殺しても「労災認めない」東京地裁の判決に遺族反発

東京都の大手エレベータ施設会社で働いていた男性(当時24歳)が2017年9月に自殺したことをめぐって、労災と認めなかった新宿労働基準監督署の判断の取り消しを遺族が求めた裁判で、東京地裁は2月28日、請求を棄却した。

●うつ病発症直前の時間外労働74時間 裁判所「心理的負荷が強いと認められない」

遺族の代理人弁護士によると、男性は2015年4月にこの会社に入社し、総務課で給与計算などの業務にあたっていた。2016年に先輩2人が退職したことで業務が増えるなどし、2017年4月にうつ病と診断され、休職。7月から復職に向けて準備を始めていたが、同年9月に自死した。

男性の両親が労災を申請したが、新宿労基署長は2020年2月、労災を認めない判断を下した。審査請求も棄却されたため、両親は2022年4月、国を相手に遺族補償給付不支給処分の取り消しを求めて東京地裁に提訴していた。

2月28日の判決で東京地裁は、うつ病を発症する1カ月前の時間外労働時間が約74時間だったと認定したものの、先輩2人の退職や上司とのトラブル、業務上のミスなど男性を取り巻く労働環境を総合的に判断した上で「心理的負荷の程度が強いとは認められず、認定基準に照らしても心理的負荷の強度が『強』であるとは認められない」として、業務とうつ病発症の関係を認めなかった。

判決後に記者会見を開いた代理人の春山然浩弁護士は「先輩の退職とうつ病を発症する直前の長時間労働を1個の出来事として判断したことがそもそも間違っている。非常に不本意な判決だった」と述べた。

男性の父親からは「仕事以外の原因が見当たらないのに、一体何が病気の原因というのかと強い怒りを感じています。私の次男に限らず、昨今の人手不足で若年者が慣れない仕事に追われて疲弊していることと思います。若年者を雇用する会社には、十分かつあたたかな指導やサポートが不可欠であることを改めて認識いただき、次男のような被害が今後絶対に二度と起きないことを切に希望します」などとするコメントが出された。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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