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コロナ禍で中堅層が離職した航空業界、人材不足が深刻 地上業務で「特定最低賃金も必要」航空連合が会見
航空業界の課題と人材確保策を発表した航空連合の会見

コロナ禍で中堅層が離職した航空業界、人材不足が深刻 地上業務で「特定最低賃金も必要」航空連合が会見

インバウンドが急回復する中、航空業界は深刻な人手不足に陥っている。コロナ禍で旅行需要が激減し「脆弱な業界」というイメージがつき、旅行需要が回復した今も人材確保が難しい状況だ。

この状況を打開しようと、航空会社の労働組合・航空連合が8月24日に都内で会見し、業界の課題や人材確保策について説明した。人手不足が特に深刻なグランドハンドリング(グラハン)と呼ばれる地上業務について、内藤晃会長は「特定最低賃金を設けることも必要だと考えています」と話し、福利厚生や賃金、働き方など総合的な改善に取り組むとした。

●賃金が低く、変則的な職場環境の「グラハン」の従業員が1、2割減少

航空業界の業務は専門的で人材育成に時間がかかり、一人前になるためには3~5年を要する。だが、コロナ禍で30代半ばから後半の中堅層を中心に離職が加速し、人材確保が急務となっている。

会見では観光需要が急回復している今の職場の声が紹介された。「シフト勤務と人材不足が相まって希望日に休みがとれない」「中堅以上の高スキル資格保有者などの人材不足が顕著になっている」など切実な意見が目立つ。

特にグラハンと呼ばれる地上業務の従業員や、保安検査業務員が不足している。グラハンの業務はさまざまで、航空機の駐機場への誘導や給油、旅客ターミナルでの手荷物の預かり、航空機までの貨物輸送などがある。

国土交通省によると、コロナ前に比べ、グラハンの従業員数は離職などで約1~2割減った。従業員の平均年収は357万円と類似の業種と比べ低水準ということ、変則的な職場環境などが要因とみられる。

航空連合は休憩室や女性更衣室などの設備拡充を政策提言している。内藤会長は「休みたい時に休めるかが大事だと思っていますが、人手不足の今の状態では厳しい。福利厚生や賃金、働き方など総合的に改善しなければならない」と話す。

●8月25日に「グラハン」の業界団体が発足

8月25日にはグラハンの業界団体「空港グランドハンドリング協会」が正式に発足する。内藤会長は「業界団体と産業別労組で対話、連携することで問題解決へのスピードが早まると思います。カウンターパートができることに期待しています」と語る。

航空連合は8月24日、空港の仕事を紹介する特設サイトを開設した。多様な職種への関心を持ってもらうことが狙いで、漫画コンテンツや従業員インタビューなどを掲載している。「島国である日本では、飛行機の役割は非常に重要。将来性がある産業だということを若い人たちに伝えたい」(内藤会長)

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