アステラス製薬の30代男性が過労自殺 長時間労働などでうつ病に、労災認定
会見に参加した遺族(2022年1月14日、東京・霞が関の厚労省記者クラブ、弁護士ドットコム撮影)

アステラス製薬の30代男性が過労自殺 長時間労働などでうつ病に、労災認定

アステラス製薬(東京都中央区)に勤務していた当時33歳の男性が2019年12月に自殺したのは、長時間労働などが原因だったとして、中央労働基準監督署(東京都文京区)が2021年12月24日付で労災認定した。遺族と代理人が1月14日、会見を開いて明らかにした。

遺族は「労災と認定していただき、率直にありがたく思っています。息子に対して不適切な対応を取っていた上司、職場に怒りがあります。アステラス製薬は人の命を守る薬を作っています。同じように社員の命も守ってください、社員の人権も守ってください」と訴えた。

●友人にLINE「かなり叱責される」

代理人弁護士によると、男性は2009年4月にアステラス製薬に新卒入社。MRとして勤務し、社内公募で選考を通過して、2015年10月から花形部署とされるプロダクトマーケティング部に異動した。

異動後、それまで経験したことのない学会やセミナーの運営業務などを担当するようになり、先輩や上司から厳しい叱責を受けるようになった。男性は友人や知人に「俺29年生きてきて今が一番怒られてますね」、「かなり叱責される」、「書類を作っても全部差し戻しになる」などと話しており、悩んでいる様子だったという。

その後、会社に出社できなくなり、2016年4月にうつ病と診断された。それから復職と休職を繰り返したが、早期退職の応募期限であった2019年12月に自宅で亡くなった。

●パワハラ認定せず「踏み込んだ調査を」

労基署は発病前5カ月の残業時間を71時間と認定。配置転換があったことや、仕事内容・仕事量の大きな変化についてそれぞれ心理的な負荷の程度を「中」とし、総合的評価を「強」と認定した。

先輩や上司から強い叱責を受けていたことがうかがえるLINEなども残っていたが、労基署はパワハラと認定せず、「業務指導の範囲内と評価できる指導・叱責」とした。

代理人の川人博弁護士は「関係者の確たる証言が得られなかったということでしょうが、パワハラを無くすという観点からも、もっと踏み込んで調査をしていただきたかった」と話した。

●会社側のコメントは

アステラス製薬は弁護士ドットコムニュースの取材に、以下のようにコメントした。

「アステラス製薬の社員が2019年に自殺されたことは事実です。当社社員が亡くなったことを大変重く受け止めており、改めてお悔やみ申し上げます。本件に関し労働基準監督署からのヒアリングにこれまで誠意を持って対応してまいりました。労災認定されたことは、代理人弁護士を通じて本日認識したところですが、その理由について把握しておらず、現段階で詳細についてはお答えできません」

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部ではアルバイト・協力ライターと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

アルバイト・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする