積もり積もった「未払い残業代」を請求するには? 労働時間の証明がカギ
画像はイメージです(よっちゃん必撮仕事人 / PIXTA)

積もり積もった「未払い残業代」を請求するには? 労働時間の証明がカギ

「終業時間になるとタイムカードを押すように言われていたけれど、その後も夜中まで残業していた」、「残業代は一切出ないと言われている」。サービス残業になることが分かっていても、長時間労働を強いられている人が多いのが日本社会の実態です。しかし、残業に対しては、それに見合う残業代が支払われるべきです。

それでは、会社に対し、どのようにすれば未払い残業代を請求できるのでしょうか。未払い残業代を請求する方法としては、例えば以下の方法が考えられます。

(1)会社と交渉する
(2)労働基準監督署に申告する
(3)民事訴訟を起こす
(4)労働審判を申し立てる

(1)(2)の方法については、費用を掛けずに又は比較的安価な費用で行うことが可能となります。これに対し(3)の方法による場合は、比較的費用や時間が掛かかりますが、最終的に裁判所の判決を得ることができます。

そして、場合によっては残業代の未払い額だけではなく、最大でこれと同一額の付加金(残業代の未払いについての会社に対する一種の制裁金)の支払が認められる可能性があります。

また、(4)は民事訴訟と同じく裁判所で行われる手続きですが、原則3回以内の期日で審理が終わるため、通常、訴訟よりも短期間で決着をつけることが可能になります。

以上のように、それぞれの方法の利点は異なりますが、どの方法を選択するとしても、原則として「労働時間の証明」が必要となります。

● 労働時間を証明する方法

未払い残業代を請求するためには、残業代を請求する側が、実際の労働時間を証明する必要があります。これに備えて、会社のタイムカードや勤怠管理簿等のコピーを保管しておきましょう。

しかし、そもそもこういう記録がない場合、もしくはこれらには残業がないように記録させられていた等の事情がある場合は、実際の労働時間を証明するものが別途必要となります。

例えば、手帳に残業時間についてのメモを残しておくこと、退勤時に家族や自分宛てにメールやラインを送っておくこと、職場の時計を携帯電話のカメラで撮影しておくこと、パソコンのログデータを保管しておくことなどが考えられます。また、GPS機能を利用して、何時まで会社にいたかの記録を残すスマートフォン用のアプリもあります。

「会社の時計を撮影」「家族にLINE」

労働時間を証明する資料を持っていたとしても、会社が、「その時間まで職場にいたかもしれないが、勝手に残っていた」などと反論してくることが想定されます。そのため、残業を指示する上司からのメールの履歴を保管しておくとよいでしょう。

また、そのような明白な証拠がなくても、残業時間中に上司から送信されてきた業務指示のメールや、上司宛に送信した業務メール等を保管しておくことも有用です(残業を会社が黙認していたことの証拠として使える可能性があります)。

また、サービス残業であることが明確な場合の他、「管理職だから残業代が出なかった」、「定額残業代として毎月一定額が支払われている」などの場合も、法律上は違法とされ、未払い残業代の請求が認められることがあります。

なお、会社に請求できる残業代がいくらかについては、賃金規程やタイムカード等の資料を参照し、1時間当たりの賃金単価に、各日の残業時間及び所定の割増率を乗じることにより、算出する必要があります。

●請求できる期間は2年

未払い残業代を請求できる権利は、2年で時効にかかり消滅します。何年にもわたってサービス残業を強いられていることがありますが、未払い残業代の請求を行わずに2年を経過してしまうと、時効により請求が認められないことになります。

そのため、会社宛に、未払い残業代を請求する旨の内容証明郵便を送付した上で、訴訟を提起するなどして、早期に時効の完成を中断する手段を講じる必要があります。

残業代が適正に支払われていないかもしれないと感じることがあれば、弁護士に相談するなどして、速やかに対応を検討した方がいいでしょう。

(弁護士ドットコムライフ)

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