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「オレ、パパになったかも」結婚目前のカレが衝撃告白、元カノ「同意なくても産むよ」
画像はイメージです(Graphs / PIXTA)

「オレ、パパになったかも」結婚目前のカレが衝撃告白、元カノ「同意なくても産むよ」

結婚を考えている恋人がいるのですが、最近になって「元カノを妊娠させたみたい」と告げられました。毎日悩んでいますーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに切実な投稿がありました。

投稿主の女性によると、数か月前、女性の恋人のもとに元カノから「妊娠した」との連絡があったそうです。カレは中絶するように求めましたが、「同意が無くとも産む」という勢いだったとか。その後、元カノからの連絡は途絶え、妊娠が事実だったのかも、産んだのかも分からないままです。

女性は今でも、恋人との結婚を前向きに考えています。ただ相手の子どもが生まれているのかどうかが気になって、毎日憂鬱だといいます。こんなとき、法律的にはどのような対応が取れるのでしょうか。緒方直人弁護士に聞きました。

●妊娠や出産の事実、他人が知る権利はない

――元カノが出産したかどうかを知る術はあるのでしょうか? 

投稿主やその恋人に元カノの妊娠や出産の事実を知る権利はありません。元カノに確認の手紙などを送ることは可能ですが(その場合は、元カノの人格を尊重して感情を害することの無いよう気をつけてください)、回答を強制することはできません。

民法の起草者は、民法783条 で胎児認知に母の承諾を必要とする理由を、母の名誉・利益の重大性から説明しています。婚外の妊娠や出産の事実についても、同様に女性(母)の名誉・利益を重視すべきでしょう。

●元カノが子どもを産んでいた場合、一生「認知」を求められる可能性は残る

――子どもが生まれていたら、どんなトラブルが起こり得る?

認知請求を受ける可能性があります。任意認知をしない(断る)ことは可能ですが、その後、認知の訴えが提起され(調停が前置されますが)、父子関係が鑑定等で立証された場合、認知は免れません。

認知請求権行使に期間制限はありません。成年に達した子を父が認知する場合には子の承諾が必要ですが、子からの認知請求にはそのような制限はなく、父が死亡しても死後3年までは可能です。

カレの同意なく産んでおきながら、出産後に一方的に認知請求してくるのは不合理だと感じられるかもしれません。しかし認知請求権や養育費請求権は子の権利ですから、母親の言動によってそれらの権利は影響されないのです。

――認知した場合、家計の面ではどんな影響があるのでしょうか?

認知後は子に養育費請求権や相続権が発生します。カレの年収を450万円、元カノの年収を300万円と想定し、「算定表」で養育費を算定すると、子が15歳未満の期間中の養育費分担額は月2~4万円の中間になろうかと思います。

父母の年収が増減すれば、養育費額も増減します。また、婚姻後、投稿主とカレの間に子が生まれると養育費の減額請求の可能性が生じます。

相続については、非嫡出子(今回の場合だと元カノの子)と嫡出子(同じく結婚後の投稿主とカレとの子)の相続分は平等になりました。遺言によって対処することは可能ですが、それでも非嫡出子の遺留分(被相続人の意思によっても奪うことのできない最小限度の相続分)を侵害することはできません。

――このままいくと、一生懸念を抱えたままということにもなりかねませんが…

結婚前のカレの異性関係から法的にはどのような問題が生じるかについてお話しをして参りましたが、結婚後にそれらの事実を離婚原因(裁判離婚で離婚請求が認められるために、その基礎となる事実)として離婚請求することはできません。ご説明した事柄が結婚の障害となるとお考えの場合は、現時点で結婚を思いとどまるべきでしょう。

じっくりお考えになる必要がありますが、投稿主はカレの過去を受け容れて前向きにカレとの結婚を考えているように思われます。そうであれば、「雨降って地固まる」の古諺どおり、二人の努力と協力があれば解決できない困難ではないように思います。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

緒方 直人
緒方 直人(おがた なおと)弁護士 緒方直人法律事務所
2012年3月に、鹿児島大学法科大学院を定年退職後、弁護士登録(鹿児島県弁護士会所属)。これまでの長い家族法の研究・教育の経験を活かして、少しでも地域社会に貢献できればと、家事事件を中心に活動している。

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