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結婚後に「無職」と判明した夫、3年間仕事に行ったふり…離婚したら養育費は請求できる?
毎日出社していたはずだったのに...(amadank / PIXTA)

結婚後に「無職」と判明した夫、3年間仕事に行ったふり…離婚したら養育費は請求できる?

結婚後に夫が実は「無職」だったと判明した――。そんな理由から、離婚を検討する女性が弁護士ドットコムに相談を寄せました。

結婚前には会社員と言っていた夫でしたが、実は3年近く嘘をついて仕事に行ったふりを続けていました。毎月の生活費は義父母が援助していたと言います。

嘘がバレてから夫は「働く」と言っていますが、仕事を見つけても続きませんでした。

女性は「子どもはまだ小さくこれからお金がたくさんかかります。私は働いているので生活はできますが、収入も少なく貯金もないので苦しい」と訴えています。

はたして働かないことを理由に離婚した場合、慰謝料や養育費を請求できるのでしょうか。宮地 紘子弁護士に聞きました。

●十分に働けると判断されたら、養育費が認められる

――夫が働いていない場合、養育費は請求できるのでしょうか。

養育費については、夫と妻の各々の収入種別(給与所得者又は自営業者)、子どもの年齢、人数により、簡易算定表から算出されることが一般的です。

しかし、夫が無職だからといって、直ちに収入が0円とされるわけではありません。

この場合、夫が働かない理由が病気やケガなどではなく、過去の職歴や健康状態、保有している資格などから今後十分に働けると判断された場合、つまり、働けるにもかかわらず働かないという場合には潜在的稼働能力が認められます。

そして、厚生労働省が毎年統計資料として公開している賃金センサス(賃金構造基本統計調査)により夫の収入を仮定して、養育費の金額を決めることになります。

よって、夫が無収入であることを理由に直ちに養育費が請求できないわけではありません。

――それでは、慰謝料は請求できるのでしょうか

離婚をする際、離婚原因を作った側の行為が民法上違法な場合には離婚慰謝料を請求することができます。ただ、今回のケースでは夫は生活費を入れていなかったわけではないので、離婚慰謝料を請求することは難しいと思われます。

女性は子どももいるとのことですので、夫が父親としての自覚を持ち、働いてくれることがベストですが、それが難しい場合には、離婚をすることも考慮されたほうが良いかもしれません。

プロフィール

宮地 紘子
宮地 紘子(みやち ひろこ)弁護士 八事総合法律事務所
名古屋市出身。勤務弁護士を経て独立後は離婚や相続などの家事事件を中心とした案件を数多く担当。JAPAN MENSA会員。家庭では1児の母。子育てと仕事の両立に日々奮闘中。

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