2019年11月22日の「いい夫婦の日」に結婚したお笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつさんが離婚調停中と報じられた。
デイリー新潮(6月29日)によると、介護職をしている夫のAさんは安藤さんの束縛やお金に細かい一面に苦しめられていたそうだ。話し合いの機会ももうけられたが、Aさんは追い詰められていき、現在、婚姻費用調停を申し立てているという。
安藤さんは「財産分与には応じず、自分のお金はびた一文やらないという態度」とも報じられているが、はたしてこのまま財産分与を拒否することができるのだろうか。山口政貴弁護士に聞いた。
●同居期間が短い場合「分与すべき財産はそれほど多くない」
安藤なつさんは「財産分与を拒否」したと報じられました。そもそも拒否できる性質のものなのでしょうか。
「財産分与とは、夫婦が共同で築いた財産は離婚時に半分ずつに分けることが公平であるという考え方から来ている制度です。ですので、いくら相手にお金をあげたくないと思っていても、相手が財産分与を請求する限り財産分与を拒否することは不可能です。
ただ、安藤さんの場合は結婚から別居まで1年半程度と同居期間が非常に短いため、分与すべき財産はそれほど多くはないものと思われます」
預貯金だけでなく、Nintendo Switchやウォシュレット便座などの「物」も分与の対象となるのでしょうか。
「Nintendo Switchやウォシュレット便座は、法的には『動産』といいます。動産も理論的には財産分与の対象となりますが、金銭的価値が大きいものでなければ、現実的には欲しい人が持っていってそれで終わりというケースが多いです」
●相手の収入や財産を把握していない場合は?
夫側は安藤さんの収入や財産額をまったく知らされていないそうです。調停でも安藤さん側が開示に応じなかった場合、どのような対応策があるのでしょうか。
「実務上は、別居後に相手の財産を調べるというのはなかなか困難な作業です。相手の財産を調べられないため、泣く泣く財産分与をあきらめざるを得ないというケースも多々存在します。
もちろん、預貯金等を調べるには銀行に照会をかけるという手はあります。しかし、銀行名や支店名まで請求者が特定する必要があり、それすらわからない状況では照会はかけられません。
その場合には、預金の額を把握することはできず、財産分与はあきらめざるを得ないでしょう」
報道を見る限り、今回の離婚は性格の不一致の離婚となるでしょうか。その場合、慰謝料はどうなるのでしょうか。
「今回の件は暴力や不倫があったということではなさそうですので、離婚原因は『性格の不一致』ということになるでしょう。そうなると基本的には慰謝料はゼロとなる可能性が高いと思われます」