不倫していることが夫にバレ、「離婚したい」と言われた。ところが実は、夫も不倫の真っ最中だった…。夫婦双方が不倫をしていて、一方のみ離婚を望んでいる場合、もう一方は従わなければならないのでしょうか?
弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、夫も自分も「ダブル不倫中」だという女性から、離婚に関する相談が寄せられました。
相談者によると、結婚11年目にして、夫のダブル不倫と相手女性の妊娠が発覚。実は相談者自身もダブル不倫をしており、それを知った夫から離婚を切り出されました。小学生の子ども2人も「自分が育てる」と言われたそうです。相談者は「お互いが有責配偶者になりますが相手の言い分に従わなければならないのでしょうか」と疑問を抱いています。
夫婦それぞれが不倫をしているというケースで、一方のみが離婚したいと望んで裁判を起こした場合、離婚は認められるのでしょうか。金子宰慶弁護士の解説をお届けします。
●そもそも「双方が有責配偶者」という状態はありえない
まず、夫が「有責配偶者」にあたるのかということを考えてみましょう。「有責配偶者」となる方からの離婚請求は認められにくいため、ご相談者の方もその点が気になっておられるのだと思います。
「有責配偶者」とは、”離婚原因につき専ら責任のある一方当事者”のことをいいます。ここで判断のポイントとなるのは、「専ら」責任があるといえるかどうかです。
今回の相談内容からすると、どちらも相手が不倫をしていたかどうかとは関係なく不倫をしているようであり、どちらか一方に「専ら」責任があるということはできないと考えられます。したがって、夫は「有責配偶者」にはあたりません。
このように離婚原因が配偶者のどちら側に主にあるのかがポイントなので、そもそも、「双方ともに有責配偶者」という状態はありえません(「双方ともに離婚原因がある」はありえます)。
今回のケースの場合、夫が「有責配偶者」ではないことを前提に考えると、離婚などについては次のように考えられます。
(1)夫からの離婚請求は、妻側が不貞をしているということが立証できれば認められることになります。
(2)お子さんをどちらが育てるかというのは、親権の問題になるので、それぞれの養育環境などを考慮して判断されることになります。
(3)慰謝料は、双方が不貞をしていますから、どちらも相手方に支払う義務が生じることになります。
(弁護士ドットコムライフ)