2015年1年間に全国の警察が把握したDV被害は、6万3141件にものぼることを2016年3月、警察庁が公表しました。12年連続の増加で、2001年のDV防止法施行以降で初めて、6万件をこえる最多となっています。
DVは、命にかかわる重大な事件に発展する可能性もあります。もし結婚している女性がDV被害にあってしまったら、どんな対応ができるのか。また離婚する場合には、どのように手続きを進めていけばよいのでしょうか。川見 未華弁護士の解説をお届けします。
A.別居して安全を確保してから離婚手続きを進めましょう
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、婚姻関係、婚約関係や恋愛関係など、親密な関係のパートナー間における暴力です。殴る・蹴るといった身体的暴力に限らず、怒鳴る・無視をするといった精神的暴力や、性行為の強要・避妊に協力しないといった性的暴力、生活費を渡さないといった経済的暴力も含まれます。
DVに悩む方は、まず、配偶者暴力支援センターに相談して下さい。被害の相談対応のほか、緊急時には、被害者や同伴する家族の一時保護などの援助も受けられます。DVを受けた時は、迷わず警察に通報し、保護を求めて下さい。ただし通常、警察の援助を受けられるのは、身体的暴力の場合です。
DV夫であれば、離婚を切り出しただけで逆上することが予想されます。別居した方が、離婚の話合い(手続)を進めやすいでしょう。別居後も、夫から生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合は、DV防止法に基づく保護命令(接近禁止命令等)を申し立てることもできます。
別居をする際には、ある程度の現金や妻子名義の預金通帳など、必要な物は持ち出した方がよいでしょう。また、DVがあったことを証明する資料(DVにより負った傷の診断書や写真、DVを受けた際の録音データ、日記、DVを他人に相談したメール記録など)があれば、持ち出して下さい。
身の安全と生活拠点が確保できたら、離婚手続を進めます。夫が離婚に応じない場合には、離婚調停、調停でも合意できなければ、離婚訴訟をすることになります。 離婚請求と共に、精神的損害を負ったことを原因として、慰謝料を請求することもできます。
裁判では、離婚原因や慰謝料について、DVの内容や被害の程度、原因などを総合的に判断して決められます。「夫から一度だけ平手打ちをされた」という内容では、DVの程度としては弱いと判断されるでしょう。裁判で立証するために、できる限りのDVの証拠を集めておくことも大切です。
DVを受けた場合、離婚に向けた準備や進め方については、注意すべき点があります。行動を起こす前に、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。
(弁護士ドットコムライフ)