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不倫やモラハラに倍返しだ! 夫に「仕返し」する妻たち、法的リスクは?
写真はイメージです(ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA)

不倫やモラハラに倍返しだ! 夫に「仕返し」する妻たち、法的リスクは?

「旦那への仕打ち何したことありますか?」。ネット掲示板「ガールズちゃんねる」に、そんなスレッドが立っている。

投稿者は妊娠を機に専業主婦となった。切迫流産と診断され、自宅で安静にするように言われたが、夫は料理にうるさく、小言を言ってくるという。

ある日、投稿者は米抜きダイエットを決意したという夫に「米を食べないために料理を美味しくしないで、味を薄くして」と要求された。これまで夫にうるさく言われてきた投稿者は、夫のために「味なし料理」を作っているという。

●妻からの「仕返し」…超高級ウイスキーを安物に差し替え

コメント欄には、妻が夫におこなった仕返しの数々が並んだ。

「10年間不倫モラハラ性的DVに苦しんだ挙句私と子ども達を捨てて他の女に行こうとした元旦那に、正月両家集まった所で不倫の恥ずかしーーーーーい写真(最中あり)やらメールやらを本人や義理両親の前でおっ広げて離婚要求」。その結果、慰謝料300万と養育費を一括で受け取ったそうだ。

夫が大切にしている超高級ウイスキーを飲んだという人も。かわりに安いウイスキーを補充したが、夫はまったく気付かずに「至福の顔でチビチビ飲んでいる」という。

中には「暴行」や「傷害」にあたりうるのではないかという仕返しも挙がる。たとえば、「ペットボトルの水に下剤入れたことあります」などだ。

こうした行為に法的な問題はないのだろうか。離婚、男女問題に詳しい原口未緒弁護士に聞いた。

●やりすぎると「離婚理由」になることも

ーー実際のスレッドには、上記であげた事例以外にも「無視、無視、無視、無言の仕打ち」「旦那の歯ブラシで風呂掃除(溝など)、洗面所の掃除」など、モラハラや暴行、傷害にあたりうる事例があるようです。

「やりすぎな事例では、その事実をもって夫婦関係が破綻しているとして、離婚が認められる可能性も十分にあります。

以前、私が担当した離婚訴訟でも、妻の異常な嫉妬に耐えかねて家を出た夫に対し、妻から鬼のように罵倒するメール(略して『鬼メール』)が届いた事案がありました。裁判では、鬼メールの内容があまりに酷いということで、破綻が認められました。

つまり、妻としては離婚を望まず、相手を引き止めようとして送った鬼メールでしたが、結果的には、夫婦関係が破綻しているという証拠を差し出してしまったのです。

裁判では鬼メールのような客観的な証拠が有効です。嫌がらせ行為も最初は気がつかれなくても、段々にエスカレートしていくことで、相手に気づかれて証拠をとられてしまったり、うっかりと証拠を残してしまったりすることも十分に考えられます。

イタズラはあくまでイタズラの範囲内にとどまるようにしたほうが、自分自身のためだとも言えるかもしれませんね」

●「ご主人への仕返し、私はいいと思います」

ーー今回のスレッドに寄せられたコメントの数々のように、日頃から夫に対する不満があり、「夫に仕返しをしたい」と思う妻たちもいるようです。

「ご主人への仕返し、私はいいと思います。変な言い方ですが、ご主人にプチ仕返しをして、それで気が晴れたり、気が紛れたり、またご主人と笑顔になって過ごすことができるのであれば、それも、一つの夫婦円満の秘訣ではないのかな、と思います。

これもまた変な言い方ですが、仕返しをするのは、離婚を望んでいない状態で、いろいろあるけれども『そばに居たい』という気持ちを持っていることですよね。

だとしたら、うまく気分転換などをして、自分のメンタルを維持していくのも、夫婦生活を維持していく秘訣なのでは?とも、離婚弁護士の私としては思ってしまいます。

離婚にはメリットもありますが、もちろんデメリットも大きいものです。子どもが傷ついたり、生活環境が変わってしまったり、自己嫌悪になることもあるでしょう。離婚を専門に扱う私ですが、それでも離婚は必ずしもいいことばかりではないと感じます。

離婚という大事になるのを避けて、うまく今の夫婦生活を続けていくためにも、仕返しはある意味ひとつの秘訣かな、とも思います。ただ、くれぐれも、やり過ぎにはご注意ください(笑)」

プロフィール

原口 未緒
原口 未緒(はらぐち みお)弁護士 弁護士法人 未緒法律事務所
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)

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