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「胸を見せて!」夫がハマったライブチャット、失望した妻の反撃
写真はイメージです(maroke / PIXTA)

「胸を見せて!」夫がハマったライブチャット、失望した妻の反撃

「主人の携帯に、女性とのショックな動画が入っていました。離婚したいです」。2歳の子どもがいるという女性から、このような相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者によると、動画の内容は、夫と同僚の女性がライブチャットをしている姿を録画したもの。夫に胸を出すように言われ、それに応じている同僚の女性の姿が写っていたようです。

相談者が同僚の女性に聞いてみたところ、女性も夫とチャットした事実を認めたとのこと。過去にも同じようなことがあり、相談者は限界を感じているようです。

このような場合、夫に慰謝料を請求することはできるのでしょうか。

●ライブチャットは「不貞行為」とは言い難いけれども…

結婚している人が、本人の意思に基づいて、配偶者以外の人とおこなう性的交渉のことを「不貞行為」といいます。不貞行為は不法行為となるため、不貞行為をおこなった配偶者とその相手に慰謝料を請求することができます。

肉体関係(セックス)がなくとも、不貞行為が認められることもあります。不貞行為の範囲には、実質的にみて性交と同視しうるような行為(射精を伴う行為やオーラルセックスなど)の性交類似行為も含まれるとされています。

今回のようにライブチャットでやり取りをした場合は、直接の性的交渉はないため、「不貞行為」にあたらないといえるでしょう。

しかし、男女問題に詳しい吉田雄大弁護士は「たとえ直接の性的接触がなく、『不貞行為』にあたらなくとも、慰謝料が発生する余地はあります」といいます。

「たとえば『婚姻共同生活の平和の維持によってもたらされる配偶者の人格的利益』(東京地裁平成17年11月15日判決)を侵害するものとして、慰謝料支払義務を負うことになるでしょう」(吉田弁護士)

●「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断されれば離婚できる

では、相談者は夫と離婚することはできるのでしょうか。

「ライブチャットの事実は、ほかの不貞行為の存在を疑わせる証拠の一つです。夫がいくら否定したとしても、裁判になった場合、『不貞行為をおこなった蓋然性がある』との認定がされる可能性も否定できません。

そのような認定がされたり、あるいは実際に性交渉があったりする場合は、民法770条1項が定める離婚事由である『不貞行為』(1号)として、離婚や慰謝料が認められる可能性がより高まるでしょう」(吉田弁護士)

また、たとえ「不貞行為」にはあたらないとしても、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(5号)と判断されれば、離婚が認められる場合があります。

つまり、夫婦関係が破綻し、回復が困難であり、これ以上は結婚生活を続けていくことが難しいと判断された場合に、離婚が認められることになります。

プロフィール

吉田 雄大
吉田 雄大(よしだ たけひろ)弁護士 あかね法律事務所
2000年弁護士登録、京都弁護士会所属。同弁護士会子どもの権利委員会委員長等を経て、2012年度同会副会長。2018年6月から日弁連貧困問題対策本部事務局長。

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