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駅で「逃げる痴漢」に足を出して転ばせた男性、「暴行罪になる」は本当?
男性が転ぶ瞬間の動画より(提供:フーチュンさん)

駅で「逃げる痴漢」に足を出して転ばせた男性、「暴行罪になる」は本当?

東京都北区のJR赤羽駅ホームで、女子高生2人に追いかけられ、走って逃げる男性の動画が5月28日、Twitterに投稿されました。

Twitterでは「痴漢ではないか?」と言われていましたが、5月29日に放送されたフジテレビ系情報番組「めざましテレビ」で、逃げていた男性が女子高生に痴漢行為をしたとして、強制わいせつの容疑で逮捕されたことが報じられました。

動画では、ホームを走って逃げる男性と後ろから「逃げるな!」と声を上げて追いかける女子高生2人の姿が映されていました。また、逃げる男性が目の前を通り過ぎた時に、別の男性がさっと足を出し、逃げている男性を転ばせていた場面も撮影されています。ネットでは、転ばせた男性について、「暴行罪だ」と指摘する声が一部で上がりました。

本当に暴行罪にあたるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。

●暴行罪にあたるのか?

今回のケースのように、女子高生たちが「逃げるな!」と言いながら、追いかけている男性を周囲の人が転ばせた場合、罪に問われるのでしょうか?

「今回の事件につきましては、刑法第208条の暴行罪ではなく、犯人を逮捕するのを手助けするために行為に及んでおり、暴行は逮捕に含まれ、刑法第220条の逮捕罪の問題になってきます。

本件では、犯人の逮捕を手助けするために被疑者を転倒させる行為をしているわけですから刑事訴訟法第212条2項1号の『犯人として追呼されているとき』に該当します。そして、私人でも現行犯逮捕(準現行犯逮捕を含む)をすることができますので、逮捕行為の一部として適法と考えます。

もちろん、やり過ぎはダメですので常識的な範囲の行為に限って適法になり、今回のような場合も常識的といえますので適法といえます。結局、刑法第220条の『不法』とはいえませんので、逮捕罪が成立しないということになります」

(2019年5月31日11時34分:当初「超法規的な観点から違法性阻却される可能性がある」としておりましたが、解釈に誤りがあったため、西口弁護士と協議のうえ、訂正いたしました。お詫び申し上げます)

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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