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「虚偽レイプ」訴えた元町議を支援した団体に「人権賞」、弁護士から疑問の声「趣旨に反する」
東京弁護士会が入る建物(MARODG / PIXTA)

「虚偽レイプ」訴えた元町議を支援した団体に「人権賞」、弁護士から疑問の声「趣旨に反する」

群馬県草津町の黒岩信忠町長からレイプされたと虚偽の告発していた元町議の新井祥子氏を支援していた団体「一般社団法人Spring」が、東京弁護士会から「人権賞」を授与されていたことが波紋を広げている。

Springは性被害の当事者団体で、性被害の実態を伝える活動などをおこなってきた。東京弁護士会から今年11月、「2023年6月の性犯罪規定見直しの大きな原動力」になったとして、人権賞を授与されていた。

しかし、一部弁護士から、団体について「町長を性加害者と決めつけ、風評被害の拡大に寄与した」として、人権賞の趣旨に反するのではないかと指摘されているほか、SNSでも人権賞の撤回を求める声が上がっている。

東京弁護士会は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して「人権賞の撤回は検討しておりません」と回答した。

⚫️弁護士有志が東弁に情報公開求める「公開質問状」

新井氏が虚偽のレイプだったことを明らかにしたと報じられたのは、11月15日だった。この日、前橋地裁でおこなわれた民事裁判の中で認めたという。

その後、東京弁護士会が11月27日、団体に人権賞を授与することを発表した。人権賞には、100万円の副賞も授与される。

団体は12月5日、新井氏への支援を撤回したうえで、初代代表理事が草津町を「セカンドレイプの町」などと表現したことについて謝罪した。

こうした事態を受けて、東京弁護士会所属の北周士弁護士が発起人となり、有志の弁護士(他弁護士会所属も含む)が12月6日、東京弁護士会に対して、人権賞授与についての情報開示を求める「公開質問状」を送ると公表した。

「公開質問状」には、団体について「客観的な根拠なく町長を性加害者、ひいては犯罪者であると決めつけることで、冤罪に対して風評被害の拡大に寄与しています」と指摘。「人権賞の選出は具体的にどのような手続きを経て選出されるのでしょうか」などの質問があがっている。

北弁護士らは12月21日まで公開質問状に賛同する弁護士を募ったのち、東京弁護士会に提出する予定という。

⚫️東弁「撤回は検討しておりません」

弁護士ドットコムニュースが東京弁護士会に対して、人権賞の撤回を求める声が上がっていることについて、どのように受け止めているか取材したところ、「現在、対応について検討中のため現時点でのご回答は控えさせていただきます」というコメントを得た。

また、人権賞の撤回は検討しているか質問したところ、「人権賞授与は決定済みであり、撤回は検討しておりません」と回答した。

弁護士ドットコムニュースは団体に対しても、人権賞受賞を辞退するかどうか取材したところ、「現在、お答えできる状況にない」という回答を得た。

東京弁護士会の公式サイトによると、東京弁護士会は約9000人の弁護士会員を誇る日本最大規模の弁護士会で、140年以上の歴史を持つ。

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