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同性婚、性的マイノリティ当事者8人が新たに提訴 「絶望しかけている次世代のためにも」
東京・霞が関の司法記者クラブで会見する原告ら(2021年3月26日、弁護士ドットコムニュース撮影)

同性婚、性的マイノリティ当事者8人が新たに提訴 「絶望しかけている次世代のためにも」

同性同士の結婚が認められないのは違憲だとして、心と体の性が異なるトランスジェンダーなど、性的マイノリティの当事者8人が3月26日、国を相手取り、計800万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

これまで、同性婚訴訟は全国5カ所の地方裁判所で起こされているが、その一連の訴訟につづく第二次訴訟として、あらためて現行法の違憲性を訴えていくという。

同性婚訴訟については、札幌地裁で3月17日、原告の請求を棄却したものの、同性婚を認めないことは差別であるとして、「憲法14条に違反する」という判断を下している。

●性的指向だけでなく、性自認による差別も指摘

弁護団によると、今回、追加で提訴したのは、都内在住の同性愛者やトランスジェンダー、パンセクシャル(全性愛)などの当事者8人(40代〜50代)。

現在、同性同士の結婚は不適法とされ、婚姻届は受理されない。そのため、原告らは憲法上の権利である「婚姻の自由」(憲法24条1項)を侵害されて、法の下の平等を定めた「平等原則」(憲法14条)にも違反する不当な差別的扱いであるなどと主張するという。

これまでの訴訟では、同性愛者が原告となっていたが、今回の第二次訴訟では、同性愛者だけでなく、さまざまな性的マイノリティの問題として、現行の民法や戸籍法の違憲性を訴えていく。

第二次訴訟の弁護団事務局長である沢崎敦一弁護士は、次のように話している。

「法的主張はこれまでと変わりませんが、憲法14条違反という主張の中で、性的指向にもとづく差別だけでなく、性自認による差別もだめだということを指摘していきたいです。

また、札幌地裁では憲法14条違反という判決でしたが、あらためて憲法24条違反も訴え、必ず違憲判決を勝ち取りたいです」

この提訴により、全国の同性婚訴訟の原告団は合わせて37人となった。

●「札幌地裁判決をふまえて、国会で議論を」

この日、原告のうち5人が東京・霞が関の司法記者クラブで会見した。

都内の会社員で、トランスジェンダー男性の一橋穂(みのる)さん(40代)は、パートナーとは異性愛の関係になるが、戸籍上は同性同士となるため、婚姻できないという。

「家のローンのこと、税金のこと、社会保障のこと、病院での付き添いのこと、数えればキリがありませんが、その一つ一つの権利が私たちにはありません」という一橋さん。提訴の理由を次のように語った。

「トランスジェンダーである私にとって、パートナーとつくる家庭は、心の底から安心できる場所であり、私が自分らしく生きるために必要不可欠な場所です。私たちにも人権があります。私たちにも、ほかの異性カップルと同じように婚姻を認めてほしいと思い、提訴する決意をしました。

私たち2人のためだけではなく、未来を描けずに絶望しかけている次の世代のためにも、訴えたいと思っています」

また、性的マイノリティへの理解を進めるイベント「東京レインボープライド」の運営に関わってきた編集者・ライターの山縣真矢さん(54歳)も原告に加わった。山縣さんには、20年近く同居している同性パートナーがいるが、付き合い始めた1998年当時は、同性婚を法制化している国はなく、パートナーとの結婚という発想はまったくなかったという。

「しかし、人類の歴史は歩みを進め、20年以上たった今では、30近い国や地域で同性婚が認められるようになりました」として、こう訴えた。

「先日、同性婚は認めないのは憲法14条に違反するという、画期的な判決を札幌地裁が出しました。各種世論調査でも、同性婚に賛成が過半数を上回っています。この判決をふまえ、国会の場でしっかり議論するとともに、来たる衆院選においては、争点の1つとして、国民的議論になることを願っています」

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