2020年3月に発売され注目を集めている「あつまれ どうぶつの森」(あつ森)の人気キャラクターなどが、現実の通貨などによる「RMT(リアルマネートレーディング)」で取引されていると報じられ話題となっている。
ネットで検索すると、あつ森のRMTを取り扱うサイトが複数みつかり、人気キャラクターだけでなく、ゲーム内通貨なども販売している。
RMTは一般に、ゲームバランスを崩したり、ユーザー間のトラブルに発展しやすいといわれており、多くのゲーム会社が利用規約で禁じている。
あつ森を販売する任天堂でも「ニンテンドーネットワーク利用規約」において、「リアルマネートレード(ポイントやその他の仮想通貨等を現実の通貨で売買する行為をいいます。)を行うことはできません」としている。
そもそもRMTは法律上許されているのだろうか。また、RMTを行った場合、どのようなペナルティがあるのだろうか。伊藤雅浩弁護士に聞いた。
●RMTは法律で禁止されておらず、取引自体も原則有効
ーーあつ森が大きな注目を集めていますが、その一方でRMTが行われているようです
「確かに、あつ森、人気ですよね。私はやっていませんが、妻も娘もはまっています。
RMTの問題はもう10年以上前から言われていますが、ゲームの外でキャラクターやアイテムを売買すること自体が法律上禁止されているというわけではありません。
また、場合にもよりますが、公序良俗に反するとまでは言い切れないので、ゲームの外で行われた取引自体は有効だと考えられます。
こうした法律論についてもずっと前から言われていることです。他のユーザーとの交流ができる以上、RMTを完全に防ぐのは難しいように思います。
もっとも、RMTは、不正行為に対する誘惑に繋がりやすく、たとえば、チートツールなどを使ってキャラクターのレベルを上げたり、あるいは売買の際に虚偽の表示したりすれば、刑法犯(詐欺罪、私電磁的記録不正作出・供用罪、電子計算機損壊等業務妨害罪など)の罪に問われるケースはあります」
●ほとんどのRMTは規約違反、仲介業者が責任を問われる可能性も
ーー任天堂は規約でRMTを禁止しています
「ゲームのバランスを崩す、善良なプレイヤーのやる気を削ぐ、トラブルになりやすいといった理由から、任天堂に限らず、各社とも利用規約でRMTを禁止しています。
『JOGA(一般社団法人オンラインゲーム協会)』、『CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会』といった各種のゲーム会社の団体でも、会員企業向けにRMT対策のガイドラインを定めて、ゲームの利用規約において、RMTを禁止する旨の条項を定めるよう求めたりするほか、ユーザーに対して理解を深めるための活動をしています。
したがって、RMTは売る方も買う方も、ほとんどの場合、利用規約に違反しています」
ーー利用規約に違反した場合、どのような対応が考えられますか
「違反者への対応は、各社それぞれですが、アカウントを一時的に停止したりすることは行われていますし、RMTを行ったユーザーもこれに対して異議を申し立てることは難しいでしょう。
さらにいえば、RMTを仲介する事業者も、利用規約でRMTが禁止されていることを知りつつ、それをあっせん、推奨したということで、ゲーム会社に対する不法行為責任を問われる可能性もあることにご注意ください」