2019年10月28日 10時02分

「あいのり」桃さん、無断で広告にされ「悪意しかない」「おこ」…悪質バナーのリスク

「あいのり」桃さん、無断で広告にされ「悪意しかない」「おこ」…悪質バナーのリスク
桃さんのオフィシャルブログの記事(10月16日)【2019年10月25日キャプチャ】

フジテレビ「あいのり」のメンバーだったタレント・桃さんが、ネット広告に自身の写真が無断で使用されていることに「ひどい」「悪意しかない」と怒っている。

オフィシャルブログ(10月16日)によると、広告は二重まぶたをつくる化粧品のものだという。画像左側に化粧前、右側に化粧後の桃さんの顔写真を配置し、目もとの「変身」ぶりを強調している。

芸能人などの写真を無断で広告に利用すると、著作権や肖像権の侵害になりそうだ。そのリスクについて、佐藤孝丞弁護士 に聞いた。

●著作権、パブリシティ権の侵害になりうる

まず問題になりそうなのは著作権だ。この場合、写真を撮ったのが誰であるかがポイントになってくる。

「撮影者が桃さんご本人であれば、写真の著作権者は桃さんとなります。無許可で写真を使用されていますので、著作権(複製権、公衆送信権など)や著作者人格権(氏名表示権)が侵害されていると考えます」

続いて、パブリシティ権。「顧客吸引力」のある有名人の写真で問題になりやすい権利だ。

桃さんもアメーバブログでトップクラスの人気を誇る有名人で、「その活動からすれば、肖像にパブリシティ権が成立する可能性が高いと考えます」。

「もっとも、今回の写真が顧客吸引力を有する肖像といえるかが問題となりえます。具体的には、今回の写真は、アップかつ顔面の半分しか写っておらず、一見して桃さんの写真だとわからないのだから顧客吸引力を有していないとの評価もありえます」

「一方で、SNSのフォロワーからの報告によって今回の広告の存在が発覚していることからすれば、アイプチの需要者が今回の写真のみで被写体が桃さんであると特定できる可能性もあります。広告はアイプチの使用前と使用後の比較画像を掲載して商品の効果を強調するものともいえるので、パブリシティ権を侵害した違法な利用法と判断される可能性もあると考えます」

●肖像権の侵害という可能性も

このほか問題になりそうなのが、肖像等をみだりに利用されない権利ーーいわゆる肖像権だ。

肖像権を侵害したといえるかについては、受忍限度を超えた違法行為といえるかという基準で判断される。

「今回の写真はパブリシティ権と同様、個人の特定ができないのではないかという問題がありえます」

「一方で、本人の許可なく、インターネット広告という拡散性の高い方法で使用された事実は、肖像権侵害を肯定する方向の事情として考慮されるでしょう」

●賠償を求められる?

これらの権利が侵害された場合、相手方に「財産的な損害」と「精神的な損害(慰謝料)」を請求しうる。

「財産的損害については、肖像などを使われたことで、画像の使用を許諾する場合に通常受領すべき金銭に相当する額を損害と考えるケースがあります」

だとすれば、今回はどのくらいの損害額が生じていると考えられるのだろうか。

「今回は、もともと契約で使用を許諾していたケースのように、損害算定のヒントとなる情報が明らかでないため、算定は容易ではありません。本人の顧客吸引力の程度、内容、画像の掲載場所の数、掲載期間等の諸事情を総合して考慮することになると考えます」

では、精神的損害はどうだろうか。

「精神的損害を認めるか否かについては、侵害された権利の内容が影響することがあり得ます。今回のケースでは、顔面に対するマイナス評価を強調する表現がなされているのもあり、一定の慰謝料が発生したとの判断もあり得ると思われます」

●請求するのは商品の販売会社? 広告の制作会社?

ところで、請求先はどこになるのだろうか。会社が広告を内製していることもあれば、別の会社に外注していることもある。

「商品の販売者と広告の制作者が異なる場合は、どちらに故意・過失や違法性等の不法行為の要件が認められやすいか、どちらにより賠償資力があるのかといった事情をもとに決定することが考えられます。事情によっては、共同不法行為として双方を相手方にすることもあり得ます。個人的には、広告制作会社を相手方とするケースが多い印象です」

●「広告利用、許可のあり方を考えて」

取材の最後に佐藤弁護士は次のように警鐘を鳴らしていた。

「最近は、ブログやSNS等での情報発信が増えてきたのもあり、パブリシティ権が問題となるような芸能人のみならず、個人ブロガーがアップした自撮り写真を無断で広告に利用されるケースもあるようです。

時代の変化に合わせて、写真の著作物や肖像権などの保護の要請は高まる一方です。これらの権利を利用する際には、権利者の許可を得る等の慎重な対応が求められます」

※佐藤弁護士の見解は、所属する組織の見解を示すものではありません。

取材協力弁護士

佐藤 孝丞弁護士
都内を中心に、企業法務一般、特に著作権・商標権・模倣品対応等の知的財産案件に注力。弁理士としても活動中。一方で、相続等の様々な案件を取り扱う。弁護士知財ネット会員。
事務所URL:https://sklaw.jp/

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