車を運転中、パトカーや救急車などの緊急車両が近づいてきたことはありますか。
気づいたら速やかに道を譲る人がほとんどだと思いますが、子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板には、「救急車後ろから来てるのに気づいてないのかどかない奴」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3405071)と題したスレッドがあり、スレ主が「いるよね あれって気づいてないのかわざとなのか」と疑問を呈していました。
●目撃情報相次ぐ
これに対し、続々と「こないだそれみた。一車線で後ろから来てる救急車に、前の車寄せてくださいって言われてたよ」、「後ろから救急車来たからハザードつけて停まったら、後ろにいたお爺さん私の車を追い越して前へ。救急車の道もギリギリ通れなくなっていた」といった目撃情報が寄せられていました。
スレッドでも「わざとどかない人って、そのせいで人が一人死ぬかもしれないって事分かってやってるのかな」、「救急車両の通行邪魔する車は免停がいいな。人の命かかってんのに故意に道を妨げる人なんて、事故起こしたり人轢いたりしても助け呼ばずに逃げそうだもん」と憤る声も多く寄せられていました。
緊急車両が近づいても、道を譲らない迷惑車。法的には問題ないのでしょうか。石井龍一弁護士 に聞きました。
●違反点数1点、反則金6千円
ーーそもそも、緊急車両とはどのようなものですか
緊急車両とは、「消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車で、当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のもの」と定められています(道路交通法第39条1項)。
救急車や消防車、パトカーの他、電力会社やガス会社の車両なども含まれ、そうした車両がサイレンを鳴らして赤色灯を回転させながら走行しているとき、緊急車両となります。
ーー緊急車両が来てもどかない場合、法的にはどのような問題がありますか
救急車などの緊急車両が近づいてきたときは、「車両は、道路の左側(一方通行道路の場合は右側も可)に寄って、これに進路を譲らなければならない」と定められています(道路交通法第40条)。
緊急車両が近づいてきているのにどかないというのは、上記の法律の違反であり、違反点数1点、反則金6千円の交通反則通告制度の対象となります。反則金を支払わない場合、罰金5万円以下の刑事処分を受ける可能性があります。
ーー交通違反であり、反則金もあるということですね
緊急車両は人の生死がかかっているなど、まさに緊急事態の救助などのために現場に急行しているわけですから、その走行を妨害してはならないのは当然です。
仮に、わざと緊急車両の走行を妨害したために、救える命が救えなかった、という因果関係が立証されれば、その死亡結果の責任(損害賠償責任)をも問われる場合があり得ます。
緊急車両を避けようとして事故を起こすようなことがあってはなりませんが、十分注意して無理のない範囲で、緊急車両の走行に協力することが必要でしょう。