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他人あての「宅配便」が間違って届いた・・・思わず「開封」してしまったらどうなる?
間違って届いた「宅配便」を気付かずに「開けて」しまったら・・・

他人あての「宅配便」が間違って届いた・・・思わず「開封」してしまったらどうなる?

知人に荷物を送るときやネットショッピングなど、宅配便は生活に根付いているサービスだ。ただし、間違った宛先に配達されてしまうトラブルも稀にあるようだ。

心当たりのないものが届いたり、配送先の住所や宛名が全く違っていれば、受け取りの際に気が付きやすいだろう。だが、ちょうど荷物が届く予定があったり、宛名と同姓だったり、偶然が重なって自分宛の荷物だと思い込み、うっかり受け取ってしまうこともあるかもしれない。開封してから間違いに気づいたとき、中身が取り返しがつかないものだったら顔面蒼白ものだ。

誤配送された荷物が開封された場合、間違って届けた宅配業者と、受け取って開けた人とでは、どちらの責任が重いのだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。

●第一義的には誤配した「宅配業者」の責任

「まず、第一義的には間違えて届けた宅配業者の責任になると考えます。宅配業者には間違いなく荷物を届ける義務があるからです。もし損害が生じていれば、業者に損害賠償を求めることができるでしょう」

大和弁護士はこう指摘する。他人の荷物を開封した人が責任を問われるケースはないのだろうか。

「受け取った人が、間違えて届いたことを知ったうえで、または、わずかな注意でそれが分かったはずなのに開封してしまった場合、すなわち、故意または重大な過失がある場合、開けた人にも責任が生じるでしょう。

そうした場合、開封によって発生した損害については、開封した人が賠償責任を負うことが考えられます」

まとめると、基本的には誤配送した業者の責任となるが、他人宛だとわかったうえで開封して「損害」が出たような例外的なケースでは、開けた人にも賠償責任が生じるようだ。

●もし中身が「恥ずかしい」内容だったら?

ところで、開封したことで発生する損害とは、どのようなものだろうか。大和弁護士は次のように指摘する。

「たとえば、極めて特殊な趣味のアダルト製品など、他人に見られたくない荷物を誤配送され、開封された場合は、問題となり得ます」

なるほど、それなら「恥ずかしい趣味を知られた」ことが損害と言えるだろう。そうした場合は、人に知られたくないプライバシーが侵害されたとして、配送業者などに損害賠償(慰謝料)を請求できるといえそうだ。

大和弁護士はこのように指摘したうえで、「宅配業者には、そのような事態が生じないよう、十分注意してもらいたいものですが……」と締めくくった。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

大和 幸四郎
大和 幸四郎(やまと こうしろう)弁護士 武雄法律事務所
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。元佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。

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