我が家の隣で建築中のアパートは、まさかの原色ツートンカラー。なんとかこのド派手アパートの完成を阻止できないかと弁護士ドットコムに質問が寄せられました。
問題のアパートは、2階建てのワンルームになる予定です。このアパートと相談者が住む家とが接しているため不快感を感じ「止めてほしい」と、建築主に申し出ました。しかし「建築基準法は適合」という理由で拒否され、アパートは着々と建設が進んでいます。
現段階では、問題の外壁工事は未着手とのこと。相談者は「外壁の色を変えて欲しい」「外階段と位置が重なる窓に目隠しをつけて欲しい」と考えています。このような申し入れは認められるのでしょうか。久保豊弁護士に聞きました。
●「工事の差し止めや色彩の変更を求めることは難しい」
「まず、お住まいの地域に建築協定があるかどうか調べてください。外壁の色彩が建築協定違反にあたれば、工事の差し止めや色彩の変更を求めることはできると考えます。
建築協定が存在しない場合でも、近隣の建物外壁の色彩が統一されているなどの景観利益が既に存在し、問題となっている建物外壁の色彩が社会的に容認されない程度ものであるというような場合には、工事の差し止めや色彩の変更を求めることができる可能性はあります」
では今回も、可能性はありそうでしょうか。
「現実的には工事の差し止めや色彩の変更を求めることは難しいのではないかと考えます。そもそも、建物外壁の色彩が統一されている地域は少なく、また、過去の裁判例でも、ある漫画家の住宅をめぐって近隣住民が赤白ストライプの外壁の撤去などを求めた裁判で、裁判所は近隣住民に不快の念を抱かせることがあったとしても相当性を欠くとまではいえないとしているからです(「赤白ストライプハウス事件」東京地裁平21.1.28判決)」
●「目隠し」の設置を義務付けている条件
撤去は無理だとしても、目隠しを設置することは、どうでしょうか。 「目隠しの設置については、敷地境界線から1m未満の距離に『他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側』を設置する者に、目隠しの設置を義務付けていますので、この条件に当てはまるようであれば目隠しの設置を求めることができます。
この条件に当てはまらない場合でも、プライバシー侵害と評価できる場合には、目隠しの設置を求めることができることになります。
しかし今回のケースでは、侵害を訴えているのが建物内部ではなく外階段であるということからすれば、プライバシー侵害の程度も受忍限度の範囲内として目隠しの設置を求められないとの判断が出る可能性が高いと考えます」