全国で気温が35度を超える猛暑日が続き、夏バテしている方も多いのではないでしょうか。せめて自宅ではエアコンを効かせたい所ですが、夏の真っ最中にエアコンが壊れたという相談が弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられています。
賃貸マンションに住んでいるという相談者は、7月に入り暑くなってきたところで初めてエアコンを使用しました。最初から効きがいまいちだったそうですが、7月後半には全く効かない状態になってしまいました。相談者は「自分で壊したのではなく、自然故障」と話しています。
賃貸契約書には設備の欄に「冷暖房あり」と書かれており、修理費用を出してもらうよう頼んだものの、貸主が全く話を聞いてくれないそうです。部屋に備え付けのエアコンが壊れた場合、借りた人が自己負担で修理をしなければならないのでしょうか。田沢剛弁護士に聞きました。
●修理費用は貸主が負担すべき
エアコンの修理費は、貸主と借主のどちらが負担すべきものなのだろうか。
「エアコンは、季節に応じて日常生活に必要不可欠な設備といえます。そのため、借主に部屋を使用収益させる義務を負う貸主としては、その義務を全うすべく、その修理費用は貸主が負担すべきものです。
ただし、エアコン故障の原因が借主の杜撰な使用方法にあったといった場合にまで貸主に修理費を負担させるいわれはなく、その場合は借主の負担とされても仕方がありません」
前の入居者がエアコンを取り付けて置いていった場合、どうなるのか。
「前の入居者が取り付けて置いていったとしても、貸主がそれを含めて賃貸に出した以上、その修理費用は原則どおり貸主において負担すべきものとなります。これを借主に負担させたければ、賃貸と同時にエアコンを借主に引き取ってもらうという方法があります」
貸主が修理してくれない場合、どのような手段を取ればいいのか。
「貸主が修理してくれない場合は、借主に使用収益させるという義務に違反していることになります。なので、借主としては、修理をして欲しい旨を請求した上で、応じてくれなければ契約を解除することが考えられます。
しかしながら、契約を解除してしまっては、自分自身が新たな部屋を探した上で退去しなければなりません。それを避けたければ、一旦は自分で費用を負担して修理し、賃貸人に対し必要費用を返してもらうよう請求をすることになります。この場合、支払いをしてくれるまで賃料の支払いを拒否したり、あるいは賃料と相殺してしまうことも可能です」