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「5000円も出したくない」大学の参考書を友人と「シェア購入」法的な問題は?
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「5000円も出したくない」大学の参考書を友人と「シェア購入」法的な問題は?

「5000円の参考書を買うのはもったいない」。都内の私立大学に通うNさんは、定期試験対策に必要な参考書を友人と共同で購入しようと検討中だ。

Nさんの履修している科目はテスト対策のために、ある参考書を買うように担当教授に勧められている。そこで、友人に共同購入を持ちかけ、話がまとまった。

ただ、Nさんは、著作権などの観点から、参考書を共同で購入することが法的に問題ないのか心配している。参考書の「シェア購入」は法的に問題ないのか。木村充里弁護士に聞いた。

●「私的使用」の範囲内であれば問題ないが、「迷ったらやめておく」のが無難

「他人が著作権を持つ著作物を、何人かで共同所有することもできるので、今回のケースのように著作物である教科書を、友人同士で『シェア購入』することも考えられるでしょう。

ただし、所有権と著作権は別々の権利ですから、教科書の著作権者の権利を侵害しないよう注意しなければなりません」

木村弁護士はこのように述べる。モノとして「所有」することとは別に考える必要があるようだ。どんな点に注意すればいいのか。

「たとえば、2人で交互に読むなど、共同で本を利用するだけであれば、著作権者の権利を侵害することはないでしょう」

Nさんが試験で必要な部分のみコピーして、原本は友人に渡したり、スキャナーにかけてそれぞれが電子書籍として利用したりすることはどうだろうか。

「コピーやスキャニングは著作物の複製行為であり、所有者であっても、原則として著作権者から許諾を得ないとできません。

もっとも、例外として、私的に使用する目的のためであれば、複製することが許されています。

私的使用の範囲といえるのは、著作物を個人的に、または家庭内、その他これに準ずる限られた範囲とされています(著作権法30条1項)。簡単に言えば、非常にクローズな関係においてのみ許されるということです。

2人が親しい友人で、他の知り合いなどにコピーが出回る可能性がないといった関係であれば、私的使用の範囲内といえるのではないでしょうか。

一方で、不特定または多数の人の間でシェア利用したり、コピーを回したりすることは問題となるおそれがあります。

『公衆への貸与』行為や、私的使用と認められない『複製』行為として、著作権侵害になる可能性があるからです。

友人同士であってもシェア購入が違法になることがありえますので、『迷ったら控える』という感覚でいた方が安全かもしれませんね」

木村弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

木村 充里
木村 充里(きむら みさと)弁護士 暁の法律事務所
京都大学法学部・京都大学法科大学院卒。京都市内の法律事務所勤務を経て独立。著作権法分野、企業法務、医療機関や公益法人等のコンプライアンスなどに注力している。著作権について解説する漫画「僕と彼女と著作権」をWeb連載中。

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