小遣い稼ぎのためにチャットレディをやろうと思っているが、夫の扶養からは外れたくないーー。そんな相談が税理士ドットコムの税務相談コーナーに寄せられた。
相談者は結婚して以来ずっと専業主婦だが、少しだけ小遣いが欲しいので、自宅でチャットレディを始めようと考えている。しかし、夫の扶養から外れず、今まで通りの生活がしたいと思っている。
専業主婦が働き始めるにあたり、扶養から外れないためにはどうすればいいのか。どのような点に注意しておけばいいのか。毛満勝彦税理士に聞いた。
●所得税の扶養と社会保険の扶養
「まず、扶養と一言でいいましても、所得税の扶養と、社会保険の扶養があります。
所得税の扶養は、パート収入(給与としての所得)であれば、年間103万円が基準になります。給与所得が103万円であれば、給与所得控除額は65万円ですので、他に所得がなければ、相談者の合計所得は38万円になります。
また、合計所得額が33万円を超えると住民税が課税されることにも注意が必要です。
配偶者の合計所得が38万円を超えると、夫の配偶者控除はなくなりますが、超えたらすぐに控除額がゼロになるというわけではなく、配偶者特別控除がありますので、合計所得金額が38万円を超えるとすぐに控除がなくなるというわけではありません」
社会保険についてはどうなのか。
「夫が社会保険の加入者である場合には、専業主婦の相談者は、夫の社会保険の扶養に入っているかと思われます。
社会保険の扶養は年間の総収入金額が130万円を超えると扶養の範囲外となります。社会保険の扶養でなくなるということは、妻が国民年金保険料と健康保険料を支払うこととなるため、負担が急に重いものになります。
ただ、もし夫が自営業者などで、国民健康保険に加入している場合は、妻の所得に応じて世帯の健康保険料が増えます。
相談者が言っている「今まで通りで、少しおこずかいが欲しい」というのであれば、給与所得であれば、住民税が課されない年収98万円(合計所得33万円)以内ということになると思います。
『少し負担が増えてもいいので、もう少しおこずかいが欲しい』というのであれば、給与所得であれば130万円以内ということになると思います。
130万円を超えると、社会保険の扶養も外れるので、130万円を超えるのであれば、思いきって180万円を超えるくらい(おおよその目安です)でないと健康保険料と国民年金の負担が重くなると思います」
●在宅ワークの場合、事業所得に該当することも
他に注意すべき点はないのか。
「在宅ワークの場合、契約内容により事業所得に該当することがあります。事業所得の場合は、収入から経費を控除した残額が所得額になります。
事業所得の場合、社会保険の扶養の範囲については税金の計算とは異なります。収入から、必要最小限度の経費を控除した額が130万円未満であることが要件となります。税法上の必要経費とは異なることに注意が必要です。
相談者が事業として在宅ワークを行うのであれば、年間収入額から材料費、人件費、運搬費を控除した残額で判断されることになります。
必要経費として認められる具体的な範囲は健康保険組合や協会けんぽによってばらつきがありますので、明確な判断基準ではありませんが、例えばクーラー代などは、所得税の計算では経費として認められる部分がありますが、社会保険の扶養の範囲の計算では対象外となる可能性があります」
【取材協力税理士】
毛満勝彦税理士
毛満税理士・社会保険労務士事務所は経営者様を応援する仕事をしています。税金の計算や申告、社会保険の手続きだけでなく、経営相談から人事まで幅広く相談いただけます。税理士と担当者で本気で親身にお客様のことを考える事務所です。
事務所名 : 毛満税理士・社会保険労務士事務所
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