安保法制に反対する憲法学者たちが10月9日、都内で記者会見し、安保法制に抗議する声明を発表した。問題点を指摘するだけでなく、「市民との連帯」も強調している。声明には、発表時点で208人の憲法学者が賛同を表明している。
●「日本社会のあたらしい民主主義の萌芽がある」
ポイントとなる「市民との連帯」には、次のような言葉が盛り込まれている。
「この法案に反対する高校生や大学生ら若者も含む圧倒的に多くの市民の声は国会周辺を取り囲んだのみならず、全国各地で新緑が芽吹くかのように広がった。ここに日本社会のあたらしい民主主義の萌芽がある。このあたらしい芽吹きを、研究者の立場から今後とも支持し、連帯し、安保関連法の発動を許さず、安保関連法の廃止を目指し続ける決意であることを、わたしたちは今日、ここに表明する」
会見で清水雅彦教授(日体大)は、「憲法学者が提供した理論が、安保法案についての議論を盛り上げることができた」と、憲法学者たちが果たした役割を強調。
永山茂樹教授(東海大)は、「市民との連帯を自覚しながら活動したいと思い、この部分を起草した。多くの憲法学者が、この点に賛同してくれていると思う」と話した。
●「声を上げ続ければ、派兵は止められる」
声明は、安保法制について、「憲法違反だ」「定義があいまいで、法律としてのできが悪い」「立法事実がない」などの問題点を、あらためて指摘している。
また、審議過程で与党が、「常軌を逸した国会運営」を行ったと厳しく非難。「政府・与党が、立憲主義を否定するこのような法律を『成立』させたことをうけて、満身の怒りをもって、わたしたちはここに抗議声明を発表する」としている。
小沢隆一教授(東京慈恵医科大)は、「ガリレオ・ガリレイの『それでも地球は回っている』じゃないけど、それでも安保法制は問題だと、専門家として言い続けたい」と話した。
清水教授は「法律はできたけれども、発動されるかどうかは別だ。声を上げ続ければ、一定の歯止めをかけることはできる。イラク戦争の時に、ドイツ・フランスは派兵しなかった。私たちが声を上げれば、具体的な派兵を止めることができる」と話していた。