深夜の1人勤務「ワンオペ」や、長時間労働が問題視された牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスの小川賢太郎会長(66)が4月8日、東京・品川で記者会見を開いた。
この日の会見は、労働環境の改善状況をチェックした第三者委員会「職場環境改善促進委員会」(委員長:白井克彦・放送大学学園理事長)の報告書提出をうけて開かれた。3月31日に提出された報告書には「残業時間の改善も、十分であるとは言い難い」など厳しい文言も並んだ。
小川会長は記者会見の冒頭、「みなさんからいっせいに叩かれて、従業員も、そういうチームにいる辛さを実感していたと思うが、逃げた人は少なかった」と振り返った。
昨年10月に内定を出した新卒学生で「入社辞退者」がゼロだったことにも触れ、「グループ全体で300人の新卒を採用したが、いろいろ言われてきたから、半分くらい逃げるかもしれないと思って心配していた。嬉しかったのは、1人も内定辞退しなかったということ。すごく嬉しかった」と力を込めた。
また「すき家」などゼンショーグループの店舗で働く学生やフリーター等のアルバイトについて、「実際には酔っぱらいに絡まれるなどいろいろあるが、それも人生において必要な経験。そういうときに、どういう対応をすれば良いのかも大切なノウハウだ。将来成長するための1つの良い経験にしてほしい」と語った。
●「月100時間以上」残業する人は「231人」から「0人」に
続いて、記者との質疑応答へ。今回の報告書では、月100時間以上残業をしている従業員の数が、2014年3月には231人だったが、2015年2月には0人になったとされている。また、従業員全体の平均残業時間が37時間に減少したとする。
しかし記者からは「一般常識からすれば、100時間以上の残業をしている人がゼロになったからと言って、職場環境が改善されたとは言えないのではないか」との質問が飛んだ。
この質問には、小川会長ではなく、子会社・すき家本部の興津龍太郎社長が回答した。
「1年前を考えれば、これをはるかに上回る数字だったので、そのときから比較すれば、改善されたということだ。ただ、まだまだ足りないので、引き続き、長時間労働の改善に向けて努力したい」
また、問題視されていたワンオペは、深夜時間帯はなくなったものの、昼間の時間帯は一部の店舗で存在している。その点について、興津社長は次のように述べた。
「我々はもともと、『その時間帯に何名のお客様が入店されるか』という基準でシフトをくんでいる。今後も、入客数の予想に基づいてシフトを作り、1人でも問題なく接客できると判断した時間帯については、1人勤務もありえる。ただし、0時から5時の深夜時間帯については、絶対に行わない」
【会見のノーカット動画はこちら】
「すき家」運営のゼンショー小川賢太郎会長 記者会見
https://www.youtube.com/watch?v=Wy7qBY_AqGQ
「すき家」職場環境改善促進委員会 記者会見