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「胸を触られ、3000円を下着に差し込まれた」ホステスは客を訴えられるか?
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「胸を触られ、3000円を下着に差し込まれた」ホステスは客を訴えられるか?

アルバイトで働いていたスナックで、客に胸を触られて、一人涙を流したーー。そんな女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーで悩みを打ち明けていた。

相談者が被害にあったのは、半年ほど前。アルバイトをしていたスナックで、常連客の男性に呼びつけられて、カウンター越しに近づいたら、胸元から手を入れられて、胸をじかに触られた。さらに、下着の中に3000円を差し込まれたのだという。

女性は固まってしまい、店の隅で泣いた。その後、誰にも被害のことを話せず、「何ヶ月も精神的に苦痛で食事もできず、睡眠もとれませんでした」と辛い心情を吐露している。

女性はこの客が何らかの罰を受けることを望んでいるが、半年前の被害について刑事責任を問うことはできるのか。また、スナックのホステスと客という間柄でも、犯罪になるのだろうか。近藤公人弁護士に聞いた。

●常連客の行為は犯罪か?

「下着の中に手を入れて胸を触る行為は、『わいせつ行為』に該当します。しかし、強制わいせつ罪が成立するためには、『暴行・脅迫を用いて、わいせつな行為』をすることが必要です」

近藤弁護士はこのように切り出した。相談者の女性が受けた行為では、どうだろうか?

「『暴行・脅迫』を用いた行為があるかどうかです。判例上、強制わいせつ罪でいう『暴行』は、『大小強弱は必ずしも問わない』とされており、すれ違いざまに女性の胸に触れるような行為も強制わいせつ罪に該当します。

実際には、『相手の同意を得ずわいせつな行為をする』というのみでも処罰されています。相談事例からすると、下着の中に無理矢理手を入れる行為は『暴行』にあたり、『強制わいせつ罪』と認定することは可能かと思われます」

一方で、ホステスと客という間柄でも、「強制わいせつ罪」と言えるのだろうか。

「誤解される方が多いのですが、スナックやキャバクラ、クラブという場所でも、一般社会と同様に、ホステスの身体を『触る』ことは禁止されます。

ただ、そのスナックで、客がホステスの身体を触るといったことが以前から行われており、ママが注意していなければ、今回相談者の胸を触った常連客も、『そういう行為が認められる店だと思っていた』などと言い逃れをしてくる可能性があります」

●半年前の事件でも訴えられる?

事件が起こったのは半年ほど前。今からでも、客を訴えることはできるのか?

「まだ、時効は成立していませんので、告訴することは可能です。しかし問題は、証拠です」

どのような証拠が必要なのだろう。

「被害届と常連客の自白があれば、一般に、処罰することは可能です。ただ、捜査機関としては、防犯ビデオの映像といった客観的証拠か、第三者の証言を要求するでしょう。相談者の胸を触ったのは常連の客ということなので、ママや同僚が協力してくれるかどうかが、ポイントだと思います」

女性がこの客に、慰謝料を請求することはできるか。

「慰謝料も請求できますが、ここでも証拠の問題が発生します。さらに、半年前の事件で、事件があった後も、スナックで同じ客に接客している場合、違法行為を許したなどの理由で、慰謝料が認められないかもしれません。もし認められるとしても、高額な賠償金を請求することは難しいでしょう」

近藤弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

近藤 公人
近藤 公人(こんどう きみひと)弁護士 滋賀第一法律事務所
モットーは「依頼者の立場と利益を第一に」。滋賀県内では大きな法律事務所に所属し、中小企業の法務や、労働事件、家事事件など、多種多様な事件をこなしている。

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