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気づいてた? 神保町マクドナルドの看板が、いつの間にか10年前に真っ黒になっていた
「黒看板」店舗(左:2025年9月筆者撮影)、かつての「黄看板」店舗(右:2013年7月、グーグルストリートビューから)

気づいてた? 神保町マクドナルドの看板が、いつの間にか10年前に真っ黒になっていた

マクドナルドは1971年に東京の銀座三越に1号店が出店し、現在では全国に約2950の店舗を増やした。マクドナルドのある風景は国内外で馴染み深くもあり、ありふれた風景ともいえる。

普段は気にも止めないが、つい足を止めてマクドナルドの看板をじっくり見ることがあった。

「これは、でかくて、黒いな」

シンプルな関心のままに調べてみると、東京の古書店街・神保町にある店舗の看板は、10年前に黄色から現在の黒色に変わっていたことがわかった。でも、なんで? (弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎)

●たまたま見上げなければ気づかないだろう、真っ黒看板

今年8月。書店街の東京・神保町でふと見上げたマクドナルドの看板が大きかった。

高さは3メートル近くありそうだ。もしかすると超えているかもしれない。よそのマクドナルドの店舗ではこの大きさの看板はなかなか見ないような気がする。

画像タイトル 神保町の店舗(2025年8月筆者撮影)

マクドナルドの看板というものは、平面のイラストではなく、立体にしていることが多いようだ。

この神保町店の看板は立体の上に大きく、アルファベット「M」の空間に2つの窓まで作った気合いの入ったものだった。

画像タイトル Mの看板を下から見上げてみた。厚みがある。(9月)

マクドナルドといえば、黄色と赤色をベースにした配色が印象的で、「M」の看板はいつも黄色だ。もし自分がマクドナルドの人(?)だったら、せっかく立体的に、ドでかく、かつ窓まで作ったのであれば、そりゃ最初は喜々として黄色く塗るはずだ——。

画像タイトル 黄色く塗りたくなるはずのM看板

薄い根拠ながらも、直感に導かれ、Googleストリートビューで当地の過去をさかのぼって調べてみると、2014年4月から2015年4月にかけて黄色から黒色に変わっていたことがわかった。

やはり黄色だった——。看板がある3階の座席に座った筆者は、ホットコーヒーを飲んで1人ただうなずく。

●画像で見る変遷(グーグルストリートビューで振り返る)

画像タイトル 2022年8月の店舗(グーグルストリートビューから)。当時、紙製ストロー、木製スプーン・フォーク・ナイフ・マドラーが全国の店舗にて順次提供開始された(同年10月)。 以下、ミニ情報はこちらの沿革から https://www.mcd-holdings.co.jp/company/history/

画像タイトル 2019年6月の店舗(グーグルストリートビューから)。当時、読売新聞社が連携し、食塩と新聞の共同輸送開始。

画像タイトル 2016年3月の店舗(グーグルストリートビューから)。当時、新人クルーが成長する姿に乗せて描いたアニメーション作品「未来のワタシ」が特設サイトで公開された。

画像タイトル 2015年4月の店舗(グーグルストリートビュー)。当時、全国の店舗で300円以上募金すると「スマイルソックス」が提供された。

画像タイトル 2014年4月の店舗(グーグルストリートビューから)。当時、新小学1年生を対象として全国47都道府県で「防犯笛」が89万個配布された(過去最多)。

画像タイトル 2013年7月の店舗(グーグルストリートビュー)。当時、史上初の1日限定・数量限定バーガーを販売する「QUARTER POUNDER® JEWELRY」が実施された。

画像タイトル 2009年12月の店舗(グーグルストリートビュー)。当時、「ニンテンドーDS®」を活用したサービス「マックでDS」が全国で導入開始された(同年6月)

店内にいると、窓が「M」の中にあることに気づくことは難しい。

難しいというか、そもそも誰も気にしない。外を歩いている人も、いちいち看板に目をひかれて見上げるようなこともない。見上げたとしても、壁の色も同系色の黒なので、看板の存在に気づきにくい。

こんなに大きいのに、なぜ黄色から目立たない黒色に変えたのだろうか。

画像タイトル 別の角度からみた神保町店

●「景観条例の影響?」看板の色を変えた京都や軽井沢のケースも

マクドナルドの公式サイトなどを参照すると、この看板の「M」は「ゴールデンアーチ」と呼ばれている。

画像タイトル 大きいのに街にとけこんで目立たない黒M看板

Q&Aでは、「マクドナルドの看板がなぜ赤色と黄色なのか?」という問いに対して、「創業当時より赤と黄色をシンボルカラーとしています。マクドナルドではゴールデンアーチをマクドナルドブランドの特徴を持った価値あるシンボルと位置づけています」と答えている。

また、全国の店舗の一部看板は、景観条例にもとづき、別の色を使用しているという。

「京都市では市の景観を守る条例に従い一部茶色のベースパネルを使用しています。また、軽井沢の店舗でも景観を損ねないように赤の替わりに白を使った看板を使用している店舗もあります。」(Q&Aの回答から)

マクドナルド神保町店がある東京都千代田区にも景観条例が存在する。

歴史的資産や皇居がある地域特性から、区の景観条例ガイドラインでは、たとえば「皇居から望むことができる屋外広告物は、皇居側に向けて設置しない」といった様々な配慮事項が設定されている。

「個々の屋外広告物それぞれが目立つことばかりでなく、地域特性を踏まえて、素材や色彩、大きさ、形態などをデザインに取り入れていくこととし、広告主やフランチャイズチェーンについてはフランチャイズ本部等に配慮を求めます」(区のガイドラインから)

それでは、神保町の店の看板は、京都市の事例のように、景観条例やガイドラインの内容にしたがって黄色から黒色にしたのだろうか。

それとも、他に考えられる仮説としては、たとえば店舗周辺から「黄色すぎる」などのクレームでも入ったのだろうか。

●マクドナルド本社の回答

日本マクドナルド(東京都新宿区)に尋ねたところ、神保町店の看板について、次の回答が届いた。

「『神保町店』の看板の変更につきましては、自治体の景観条例やガイドラインやそれにもとづく対応ではなく当時のマクドナルド店舗デザインポリシーに沿ったものに変更をいたしました。」

画像タイトル ばだっばっばっばー

条例は関係なかった。ただ、この答えをもってしても、看板のどのような要素が変更の要因となったかはいまだわからないままだ。

2014年から2015年ころのマクドナルド店舗デザインポリシーに沿って変更を実施した主な要因は何だったのか。

たとえば、「看板が3階以上の場所にあり、かつ大きさが1メートルを超えた場合は、黒く塗りつぶす必要があるとの規定がポリシーにある」といった回答を期待して、さらに追加で同社に質問してみた。

しかし、同社によれば、デザインポリシーは社外秘であり、個別の看板におけるデザイン変更の規定内容についても、回答できないということだった。

ただ、こうした考えがマクドナルドにはあるという。

「店舗デザインにつきましては、その時々に合わせ、お客様にfeel-goodを感じていただける食事の場の提供を心掛けて定めております」

神保町の店は、訪れた2度ともにぎわっていた。

画像タイトル 別角度から見た神保町店。こっちはいつもの黄色ゴールデンアーチ。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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